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2013/11/27

社会人になってもうそろそろ20年になる。
ここ数年、ぐっと、“新卒”の後輩と一緒に仕事をすることが多くなり、
『あの頃は』的にいろいろ思い出す。

会社勤めとなって一番衝撃的だったのは、
給料が後払いで家賃が先払いという世の中のしくみ。
しかも人間は食べないと生きていけなくて、食費も実質先払い、ということ。

バイトぐらいはしたこともあり、労働をお金に変えるしくみは知っていたが
学費と生活費は親が出してくれていたので、
つまりは学生時代のバイト代はおこずかいだった。

大学卒業後はさすがにそういうわけにもいかない。
どう貯めたのか覚えがないが、多少あった貯金で1年間の就職活動生活。
いよいよ貯えも底をつく、というタイミングで社員採用!
人生うまくまわるもんだ、と思った。

いざ働き始めて、はた、と気がつく。
ランチを食べるお金がないのである。

銀行口座の残高で給料日まで暮らすとしたら
1日5ドル程度の出費じゃないと乗り越えられない、ぐらいであったと記憶する。
今思えば5×30日=150ドル=1万5000円もなかったのか?と
自分の記憶に若干自信がないが、気持ちはそれぐらい。

確かに、職が決まり、何も考えず生活を一新!と
郊外からマンハッタン市内に引越しをしている。
敷金礼金と引越し代、それに家具も新しく揃え、
給料が入るからと使い切った、そんな無謀感がうろ覚えながらもある。

問題に気がついたのは、呑気なことに会社に通い始めてから。
朝はコーヒーとベーグルがセットで1ドル
ランチはパキスタン屋台と2杯目のコーヒーで6ドル、
帰り道に韓国料理やインド料理を食べて帰ると8ドル、
1日15ドル出費が続き、給料日まで残り2週間というところで
残高がないことに気がつく。

会社は歩いて通える距離だったので、まず交通費は問題ない。
外食さえしなければ、、
お弁当という手もあるが、手間がかかる。
でも、とにかく家にある食材を使い倒して乗り切るしかない。

そこで、ランチは家で食べることにした。
会社から家へ戻るのに徒歩20分、ストックの袋ラーメンを茹でるのに5分、
食べるのに5分、猫のミックとたわむれ5分、会社に行きたくないなーと思いつつ
歯磨きをし準備するのに5分、そしてまたてくてくと20分かけて戻ると
1時間の昼休みがちょうど終わる。

家は東28丁目、会社は西44丁目。
34丁目にあるエンパイア・ステート・ビルディング【the Empire State Building】
を見上げながら、1日に2往復、脇をわっせわっせと歩く。

本当に給料はもらえるんだろうか、とか、
お腹がすくって、こういうことか、から始まり
これからこの街で暮らしていけるのか、今の会社で働いていけるのか、
日本にいつか帰るのか、アメリカでどう生きていくのか、と
歩きながらいろいろ堂々巡りなことを考えた。

精神的にも肉体的にも、ひもじい=hungry、と刻まれたのは、
間違いなくこの時だったなぁ。

2013/11/27 10:33 | masaki | No Comments