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前回は欧米におけるゲイシャ文化への残念な理解度について訥々と述べてしまいましたが、今回はオランダのオープンな性風俗界あれこれをご紹介しましょう。
オランダといえば、レッド・ライト・ディストリクト、いわゆる「飾り窓」が有名ですね。麻薬も合法ですし、性に関してもやはりオープンなイメージがもたれているのではないでしょうか。
実際、アムステルダムの飾り窓は観光スポットとなっています。若くてセクシーなお姉さんからボリューミーなおばさままで、肌の色も白から黒まで様々な方達が、窓際でポーズをとって誘ってらっしゃいます。それぞれが個室で、カーテンが閉まっていれば、来客中。
(アムステルダムの飾り窓、繁華街からちょっと外れた方)
このストリートはわざわざ行かずとも、突然出現するといっても過言ではないくらい、普通の繁華街にあります。観光で家族連れで歩いている人たちも昼間はたくさんいて、なかなかおもしろい画です。日本人にはちょっとダイレクトすぎて、ギョッとしてしまいますけどね。
オランダは公序良俗なプロテスタントの国ですので、社会的地位のある、パートナー持ちあるいは妻子持ちの男性は、こういった風俗にはほとんど行きません。バレたときに、品が疑われ、社会的地位もあやぶまれるのかも。なのでこの手の飾り窓のお客さんは観光客か、独身男性か、船乗りなどの低階層の労働者か・・・そんなところでしょう。
逆に、社会的地位の非常に高いお金持ちの男性であれば、出張などで高級エスコートサービスを頼むという文化があるようです。新聞のいわゆるテレビ欄にあたる部分に、デートクラブ、エスコートクラブ、コールガールなどの広告がぎっちりと並んでいます。普通の国民紙ですけどね。
いつだったか、アイルランドの高級ホテルで人と待ち合わせをしていたら、好奇心旺盛な目をした初老の紳士が近づいてきました。「きみはいくらだね?」と聞くではないですか・・・(笑)
高級ホテルには、そんな密かなビジネスが展開されているんですね。まさにプリティ・ウーマンの世界です。
これはオランダではありえません。オランダでは売春は合法で、免許制だからです。エイズ対策や身障者対策などの講習をバッチリ受けた女性しかできません。「娼婦業」は女性にとってちゃんとした稼業なのです。保険や福利厚生もしっかりしています。
けれども、やはりドラッグと対になったダークな稼業ではあります。女性もキャリアアップできればいいのですが、落ちぶれるとハードドラッグにハマるのがオチだとか。近所に、政府が運営する娼婦更生施設があり、そういった女性たちをよく見かけるのですが、ジャンキーになった娼婦の姿はいたたまれないです。もうすべて吸い尽くされた感じ。
売春は合法なのだけど、売春宿が合法ではなかった時代があり、違法なビジネスが蔓延したため、あるときから売春宿も合法になりました。合法にするのは、免許制にして、政府がコントロールするためです。
同じように麻薬も、大麻などのソフトドラッグは合法にし、化学系ハードドラッグの取引を辿れるようになっています。(ハードもたいていソフトを隠れ蓑として取引されるので)
港町ロッテルダムには数年前まで、バスターミナルのような売春エリアがありました。車でそこに入るときに警察の検問があります。本物のバスターミナルのように、女性がズラッと立っています。好みの女性を見つけたら、隣りの洗車場みたいなところに車を泊めて、事に及ぶというシステム。
けれども、ここは閉鎖されてしまいました。ターミナル外で無免許の娼婦が安く身売りを始めたり、車内という私空間でドラッグが取引されたり、政府もコントロールしきれなくなったのでしょう。そこで、職にあふれた女性たちが、前述の更生施設にやってきたというわけです。
誰かの日本人観光客の遊行レポートに、こんなことが書いてありました。デートクラブに入ると、昼でも暗くてムードたっぷりのカウンターに女性がずらっと並んでいて、好みの容姿の女性を選んで、ホテルに行く。すると、部屋の灯りがパッとついて、その女性も暗がりのイメージとは違うことも判明。そんな晃晃と照らされた室内で、オープンな雰囲気で事を運ぶのは、落ち着かなくてしょうがなかった・・・といった笑い話。
日本とは真逆ですね。これでは確かに、陰影礼賛的な「ゲイシャ文化」も理解してもらえないわけですよね。