地球の舳先から vol.295
キューバ編 vol.11
いまだ社会主義を貫くキューバには、配給制度がある。
が、いいものがまわってくるわけもなく、たまにかじれない程かたいパンやら
たまに豆やらが混じってかさ増しされた米、
芋、キャツサバなど、「とりあえずおなかはふくれる」のオンパレード。
魚介類なんてものは外国人用の高級レストランにばかり流れているらしい。
たんぱく質といえばだいたいチキン。
「ポージョ フリート」という直訳フライドチキンは、屋台でもレストランでも最定番だ。
外国人用のレストランの値付けでいえば、チキンが300円なら、よくわからない
白身の魚が400円、豚肉が600円でエビが800円、というところだろうか。
だから、友人からされるキューバに関する質問でかなり多い
「カリブ海でしょ??シーフード美味しそう!」
というものには、かなりの違和感を覚えざるを得ない。
「キューバの名物料理って何??」と訊かれれば
「うーん…フライドチキン…」というのがわたしの答えである。
…そして、素材はあるのだろうが調理が上手いとはいえないこの国…
テレビの料理番組でも、ネタと言ってほしいような料理を紹介している。
今回の旅は、「フライドチキンなんて食べない!どこかにあるらしい
キューバの魚介を食べる!」を、ひそかに目的にしていた。
ロブスター。魚介の王様といえばこれであろう。
…なんだこの練り物は。カニカマか。味がしない。コブサラダのようなソースがついてくる。
エビ。港町サンティアゴにて。まあまあ美味しかった。でも、多い…
魚。米軍基地のお膝元グアンタナモのホテルで。
なにがなんだかわからない。見掛けの割に味はしない。
魚介の豪華デラックス料理。ヘミングウェイが愛用していたレストランで。
よくわからない。たぶん、エビとイカと貝と白身魚…かな。味は特に無い。
ロブスター(リベンジ)。ビールファクトリーが運営しているレストランで。
うまいっ!ようやく当たり。1500円出せばキューバでもこれが食べられるのか!
ちなみに、高級ホテルの中のレストランでもない限り、
街のレストランはとても暑い。クーラーよりも外気を取り込む方法。
なので、ビールはすぐに飲まねばたちまちぬるくなる。
が、ぬるいビールや氷の溶けたカクテルも、キューバらしくて嫌いではない。
しかしまあ、全体的に、食に期待はしないほうがよい。
ミックスサラダというメニューはだいたいキュウリとトマトしか入っていないし
デザート。なんですか?これ。リンゴのジャムらしい。
砂糖が溶けきらないほど入っており、ガリガリする。急逝糖尿病になりそうな脳天に来る甘さ
そしてものすごくしょっぱい。塩と砂糖がよくとれるので、当たり前なのかもしれない。
が、添加物ゼロに近い生活をしながらキューバ人があんなに太るのは間違いなくこの砂糖と塩の過剰摂取だろう。
じゃあ何を食べて暮らしていたかというと、これである。
わたしの好物。フライドポテト。
世界中、どこにでもだいたいあるし、だいたい外れない。しかも安い。
フライドポテトがあれば生きていける。だから大丈夫。
…と、外食を中心に紹介してきたので、せっかくなので庶民食も。
留学時代に世話になった下宿先を訪ねたら、夕食を出してくれた。
10年前毎日食べていた、これがキューバのおふくろの味。なのでした。
ごちそうさまでした。