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ひっそりとした晩秋の佇まい。
風が吹くと地面に敷き詰められた落ち葉がカサカサと音を立てて森の中を流れてゆく。
見上げると、まだ枝にしがみついていた木の葉が最後の秋の風に乗って空へと舞い上がる。
木々は重い雪が降り積もって幹や枝が折れてしまわないように地上に果実と葉を落とす。
そして土壌に降り積もった大量の葉は、雪の下で眠る無数の生命達にとって強力な断熱材
となる。
「自然」とはなんとうまい具合に成り立っているのだろう・・・と思う反面、
決して彼らは偶然性の中で生きているのではなく、高等な「生きる術」を持った者だけが
現在まで生き残ってきたことに気が付く。
森がゆっくりと冬仕度を進める中、森に流れる川ではヒグマが派手に水しぶきをあげてサケ
を追いかけていた。
写真に写る彼らの姿はまさに北海道の「木彫りの民芸品」そのものだ。
雑食性のヒグマは自然界で草本や木の実、昆虫、動物、魚介類などを食べるが、それらを
食べ分けることによって必然的に栄養のバランスを保っているといわれる。
夏の終わりから初冬に至るまで、彼らは長い冬篭りに備えて脂肪分の高いサケやマスを
好んで食べる。
この遊び盛りの若いヒグマは既に充分にお腹を満たした後も、次から次へと魚を追い駆け回し、
獲ったサケをブンブンと振り回して川原へ放り投げて遊んでいた。
その姿はどこか人間の子供にも似ているようで可笑しかった。
一方、サケにとってはこれほど不条理なことはないのかもしれない。
何年もの長い旅の末に故郷の川へ戻ってきたサケは、最後の力を振り絞って川を遡り、
最後の仕事である産卵の準備を整えているところで、ある瞬間、突然訳も分からず
地上に放り投げられてしまうのだから・・・。
運悪く”やんちゃ”なヒグマに捕まってしまったサケのご冥福を祈りたいところである・・・。
が、実はこのクマに捕らえられたサケの物語はここから長い時をかけて綿々と続いてゆく。
その辺りのお話はまた後日にお話することにしよう。
さて、数日後には札幌でも雪の予報が出ているから、これからタイヤ交換をしよう・・・。