「将来カフェや自分のお店を持ちたいです。」
そう思われている方、周りにいらっしゃいませんか?
結構いらっしゃると思うんです。主人も、「いつか自分の店を」と料理人なら誰しも抱くであろう、独立の夢を持っていました。私もそんな主人とお店を「やりたい」人でした。主人と一緒になることを決めてから、ずっとお店を「やりたいんです」って周りに言っていました。
「やりたい」とそれを「やると決めること」は大きな差があると今では感じています。当時は全然わかりませんでした。ある時、実際に店舗を持たれている先輩に聞かれました。
「いいね!やったらいいよ。
じゃぁ、【場所】はどこでやるの?
それは何故?
そこは【坪単価】いくら?
【客単価】はいくらでやるの?
【コンセプト】は何?
【ターゲット】は誰?」
・・・どんどん出てくる当たり前の質問に、なんとなくしか(実際、ほとんど!)答えられませんでした。やりたいけど、どんなお店をやりたいか、相手に伝えられるほど、明確じゃなかったのです。それに気付いてはっとしました。なんで答えられないんだろう、こんなことで、本当にお店なんてできるのか、いや、できないぞって。ただ言ってただけだったんだなってショックでした。
慌てて、主人と一緒になって、真剣に考えてみました。
私たちは、どんなお店にしたいんだろう?
「カウンターがメインで、そのカウンターからは、板長がお料理を作る姿がよく見えて、お客さんが来たら気持ちがまぁるくなるような、ほっとする店がいいね」
場所は?「渋谷や新宿みたいながやがやしたところじゃなく、銀座や恵比寿みたいな駅は大きいけど、大人な街!駅近じゃなくて、ちょっと外れた小道にあるような隠れ家みたいな場所がいいな」
大きさは?「17坪くらいかな」
坪単価は?「1万5千円くらいまでで・・・」
・・・聞かれたところをとにかく数字に出して、明確にしてみたんです。あとから考えると、まだまだ明確とは言えないんですが。それは何故?って聞かれると、なんとなく!となっちゃうんですよね。何時間も電話して(遠距離なので)、専門書を買って、実際にやっている方に話を聞いて・・・そしたら何が必要か、出てきました。 どんどん現実味が出来てきて、正直、こりゃ大変なことだぞ!!と思い始めました(笑)。
それを持って、周りの友人、諸先輩方に話していると、世界が変わってきたんです。周りが積極的に情報を提示してくれたり、不動産の情報が目に入ったり、金策が出来てきたり・・・応援してくださる方も出来始めました。そして実際にお店を出すことになったのです。嘘みたいですけど、本当なんです。
いつかやりたい、ずっとそう思っていました。
いつやるか、どんなお店を持ちたいか、
明確にしたことで、初めて私たちの世界は動きだしました。
実は、どちらかというと私のほうがのり気で、主人は半信半疑のところがあったと思います。でも、ふたりで具体的に話しているうちに、本当にお店をやるんだ、っていう気持ちが強くなっていきました。それがどんどん現実になっていった。そんな感覚で今に至ります。
主人の料理が本当に美味しいということが、ここまでに至った最大の土台だと思います。やりたいと思って始めてみた日本酒会で、主人の料理を多くの人が食べてくださって、「美味しいね」って笑顔をみせてくださいました。(日本酒会の話はまた後日・・・)
和食の世界で22年生きてきたことは、本当にすごいことだと感じています。4年間ほどは包丁に触らせてもらえない、厳しい修行時代。朝から晩まで、先輩より先に寝たり、帰ることはできない厳しい環境の中、主人は一生懸命、まっすぐに仕事に取り組んできました。その時間があったからこそ、今があると思っています。そのことにとっても感謝しています。主人の料理を喜んでもらえる場を作れるいま、とても幸せです。(板長の修行時代もまた後日・・・)
さて、こんなお店にしたい。ということを明確になったところでやっとお店づくりのスタート地点についた私たち。これから、不動産探しを始めるんですが、これまたなかなか見つからず・・繁盛店を運営されている先輩に、「そんなことではお店をつぶすよ」と言われたり、不動産のプロの方に、「そんな考え方では、いつまでたっても見つからないよ!」とくぎを刺されたり・・・これからいろいろ起こります。
不動産が見つかるまでの話は次回、お届けしたいと思います。
またお付き合い頂ければ嬉しいです。