« | Home | »

2011/03/10

皆さん、おはようございます。

引き続き仏教系の死後の世界を考えてみましょう。
今回はチベット仏教のバルド・トドルという経典が題材です。
「チベット死者の書」というタイトルで知られていますね。

人は死ぬと、3日半の気絶期間があると言います。
チベット古来の埋葬法では、
蘇生の可能性も考えて、3日半は死体をそのままにしていたそうです。
その後、解体して鳥たちに食べさせる「鳥葬」は有名ですね。

さて、3日半の気絶の後、
3つのバルド(中間状態・中有)を経験します。
チカイ・バルド、
チョンイ・バルド
シパ・バルド
以上3つです。

最初のチカイ・バルドでは平和の神々が、
チョンイ・バルドでは恐怖の神々が、
そしてそれでも成仏せず、
生まれ変わりも決まらないようであれば、
ヤマ(閻魔大王)の裁きがあり、
リアルなヴィジョンに苛まれるシパ・バルドに突入します。
たいていの人はこのシパ・バルドで転生を確定するわけですね。

簡単に言ってしまうとこれだけのシステムなのですが、
私がこの経典を画期的だな、と思うのは、
日本の六道輪廻システムよりもメカニック、
しかもそこでの経験の原因を、
本人の心の状態の投影として見ており、
実体視しないわけです。

閻魔大王でさえ、心が作り出した幻影である、と説きます。
これがチベット仏教の発想であると同時に、
仏教そのものの発想でもあります。
決して、お上の権威で押さえつけるのではないのです。

いずれにせよ、自業自得には違いないのですが、
自分のカルマを他人が裁くのではなく、
カルマに応じて境遇が決まっていくわけです。
自己責任の範囲がさらに広がっているようなものですね。

2011/03/10 11:51 | bonchi | No Comments