少し前の7月13日、ルスリ・ハビビゴロンタロ州知事はタイトル通り上級幹部に対し「女性秘書禁止令」を出しました。
この理由が何ともお粗末で、“女性秘書と不倫関係にある上級幹部が大勢いるとの情報提供を数回受けた”ためだとか。
この対策として「女性秘書を男性の補佐か、魅力が薄れた年配の女性に差し替えるように」と指示をしました。
【魅力が薄れた年配の女性】って、いったいぜんたいどういう事でしょう!
そもそも、上級幹部の指導をせず秘書を交代させる提案をする点で、この禁止令が残念でなりません。
州知事は「こうした幹部らは妻より秘書に優しくしている。秘書には出張の際に買い求めた香水やブランドもののバッグをプレゼントしている一方、妻には何一つ買ってこない」とも発言しています。
知ったこっちゃ無いわ、まったく!
現在、女性秘書を雇っている上級幹部は50人ほどいるようで、この秘書の方々がハビビ氏の言う【魅力が薄れた年配の女性】なのかどうかは分からない。
さらに、昨年ゴロンタロ州政府は不倫抑制策として、月給を妻の銀行口座に送金するよう男性公務員3200人に求めていす。
この方法は、ハビビ氏がゴロンタロ州知事になる前に初代北ゴロンタロ県知事として勤めていた北ゴロンタロ県でも採用されていました。
成果のほどは知りませんが、現在は違う県知事になったため、この方法は取られていません。
ただ、こうした不倫騒動は政府の上級幹部に限った話ではありません。
残念ながら、学内でも聞く話しです。
インドネシアおよびゴロンタロ人の大部分はイスラム教を信仰しています。
ご存知の通り、イスラム教は一夫多妻制を認めています。
妻の同意(第二夫人と結婚する前に第一夫人の許可を得る)があれば、宗教裁判所の審査を経て、4人まで妻を持てると法は定めています。
ただ、1つだけ言える事。
それは、ある程度金銭的に余裕がないといけない、ということです。
第一夫人・第二夫人…すべての奥さんにすべてが平等でなければいけないのです。
第一夫人と1時間買い物したら、第二夫人とも1時間買い物をしないといけない。
第一夫人用の家があるなら、第二夫人にも同じ程度の家を建てないといけない。
結納金などの額も同じでないといけない。
しかし最近では、「一夫多妻婚は女性の人権侵害を助長している」と反対する声が勢いを増しつつあるのも現状です。
さて、最初の話題に戻ります。
イスラム教では不倫は重罪であり、その刑罰は重く、死刑になることすら少なくないのです。
例えば、コーランには以下のような文章があります。
「姦通した女と男は、それぞれ100回鞭打て。もしあなたがたがアッラーと末日を信じるならば。アッラーの定めに基づき、両人に対し情に負けてはならない。そして一団の信者に、かれらの処刑に立会わせなさい。」
ムスリムなのに不倫…
ゴロンタロ州では95%以上がムスリムなので、ほとんどの上級幹部がイスラム教を信仰していると考えられます。
他の宗教を信仰していたとしても、不倫はやはり道徳に反すると思いますけどね。
ムスリムの場合、この罪の重大さを考えれば、州知事が女性秘書を禁止するほど日常茶飯事に不倫が起きているということは事実のようですね。
今までゴロンタロで生活してきた中で、お酒を飲んだり女性がタバコを吸ったりしているのを見てきた。
もちろん、ムスリムですよ。
しかし、お祈りは欠かさずに行うし豚肉は絶対に食べない。
インドネシアのムスリムは他の地域と事情が全く 異なり「寛容のイスラム」と呼ばれているのもこのあたりの理由からでしょうか。
すごく矛盾を感じるし、自身の中で消化できない宗教に対する考え方・モヤモヤがあります。
が、イスラム教徒であることを辞めた方がいいとまでは思いません。
ただ、この禁止令。
冒頭でも言ったように不倫することが前提の“不倫するから女性秘書を雇わない”ではなく、男女問わず上級幹部者への指導を行うべきだと私は思えてなりません。