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AIDA Depth World Championships 2013、世界大会が、終わりました。
残念ながら、目標のCWT-60mは達成出来ませんでした。
でも想定外の心境に至りました。
何と言うか、スッキリ燃え尽き心軽やか。
応援し、協力して下さったみなさま、改めて、本当にありがとうございます。
それにしても、2分にも満たないほんの一瞬、ただ潜るためだけに
多大なお金と時間をかけ、数ヶ月にわたり生活の優先順位を変え、
はるばるギリシアまで行って、そして白壁のエーゲ海の島々に渡ることも
遺跡を見ることもなく帰国。
つくづく、「本当ーーーに、モノ好きだよなあ・・・」
と、思います。
海に魅せられた最高のモノ好き達の最高の「祭り」。それがフリーダイビング世界大会。
私の武者修行の集大成、記憶がうすれないうちに、ポツポツと書き始めます。
●カラマタ
2011年に引き続き、今回も海洋競技の世界大会はギリシア・カラマタで開催されました。
「カラマタ」は日本人にはあまり知られていない場所ですが、一部のフリーダイバーとオリーブ通には馴染みのある地名です。ペロポネソス半島の中では2番目に大きな都市で静かな海沿いの町、古くからある素敵なリゾート地です。なんと言っても有名なものは・・・オリーブと、オリーブと、オリーブと・・オリーブ。
フリーダイビングの大会は日本から最低1回は飛行機を乗り継ぎ、20時間以上かけて辿り着くような場所で開催されますが、今回の開催地カラマタもご多分に漏れず、なかなかのロングジャーニー。今回私は2度目のカラマタなので、余裕かと思いきや、結局30時間ほどかけてやっとの思いで辿り着きました・・・
●羽田〜ドバイ
休暇前日、都内を駆け回り怒濤のように過ごした後、羽田にダッシュです。まずはエミレーツ航空の深夜便でドバイへ。飛行機に飛び乗った瞬間の頭の中は99%仕事でいっぱい、ドバイ空港ではちゃんとWiFiが入るだろうか、メールが取れるだろうか、などと心配しながら・・・しかし膝の上のMacbookは一度も開かれることなく、機内爆睡すること約10時間。
そして一瞬で砂漠の国ドバイ到着。空港中に溢れるラクダやツボ。
そして・・もう自分が何を心配していたか忘れていました。そう、忘れっぽい、というのはフリーダイバーの最大の美徳(?)でもあるのです。
●アテネ〜カラマタ
そして再び爆睡してアテネへ。どこでもドアのように何の問題も無く到着しました。しかしここからが遠い道程なのでです。アテネからカラマタまでは飛行機が飛んでいますが、これがとても本数が少なく、この日は確か一日一便のみでした。最短日数で大会に来ている身としては一日でも早く現地に辿り着きたいのでアテネで一泊すると言う選択肢はなく、当日中にカラマタ入り出来る方法として長距離バスをチョイスしました。
というわけで、まずは、空港から片道約1時間かけてキフィスウの長距離バスターミナルへ。日本国内でも長距離バスターミナルというのは私にとっては大抵「わかりにくい」場所なのですが・・
ましてや、ここはギリシア。そもそも文字が読めません。ハンパないアウェー感・・・しかもなんと、乗ろうとしていた1時間後のカラマタ行きバスはまさかの「満席」でした。
次のバスはそのさらに2時間後。
半べそをかきたくなりながら、大荷物と一緒に待合室でひたすら待ちます。前回は数人で移動したのでバスを待つ間も苦にもならず、かなりすんなり辿り着いたのですが、今回はもう殆どの選手が現地入りした後だったのでモノフィンを担いだ人などひとりも見かけませんでした。
ギリシアの演歌のような民謡が流れ、扇風機がぬるい風を運ぶ「昭和」な空間で、「次回カラマタに来ることがあったら・・絶対飛行機で来よう。」と固く決意したのです。東京からの出発便ではなく、カラマタへの到着便から逆算して東京発の便を取る、というのが賢明でしょう。フリーダイバーにとって、いかに遠征の長距離移動で疲労しないか、というのは本当に重要なので・・
やっと来た2時間後のバス、高速に入る手前でウンともすんとも動かなくなりました。
さすがに20分くらい停車したところで窓の外を見ると・・・周囲をパトカーに囲まれています・・
ぎょっとして周囲の人に「いったいどうしたんですか???」と聞いても
「さあ・・・Policeがいるねぇ〜」とノンビリ構え、とりあえずバスの外に出てタバコ等
ゆっくり吸って、談笑してみなさんゆったりと待っていました。
一体何があったのかわかりませんが1時間程停車したあと、何事もなく走り始めました。
本当に何だったんでしょう・・・
ともあれ、このあとバスは順調に走り出しました。夕暮れ時のペロポネソ半島をひたすら西へ、西へ。日本とは全く異なる風土、違う神様がいそうな神話の舞台をひた走りながら、旅情たっぷりの車窓の旅も悪くないなあ・・などと。大会で潜りに来たんだから!体力温存しなくては・・と思いつつ、眠るのも勿体ない程、美しく刻々と変わる風景。もはや自分が何をしに来たのかもわからなってきました・・・
そして4時間後、カラマタに到着。
抜け殻のように疲れ果ててホテルに到着したのはもう22時半過ぎ。
もう皆翌朝の練習に備えて寝静まっているかな・・・と
ヨロヨロチェックインをしていると・・・
「Yuuuuuuu—-ki-iiiiii————!」
よりによって、正真正銘ラテン系フリーダイバーのミゲールと、アプネアアカデミー仲間のパスカルの2人組に遭遇。いきなりハグの嵐でお出迎えしてもらいました。
すぐにはチューニングが合わないハイテンションの洗礼を受け、
「ああ。来たんだなあ、世界大会」
と、しっかりと噛み締めたカラマタ入りの夜でした。
一刻も早く部屋に入って静かに眠りたい・・と思いながら・・。