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こんばんは、酒井孝祥です。
今昔舞踊劇東京公演の稽古も、荒通しを行う段階になってきました。
「荒通し」と聞いても、舞台関係者以外の方には、なんのこっちゃ分からないかもしれません。
稽古の初期段階では、場面ごとに区切って少しづつ進めていきますが、その区切りをなくして、本番と同じ流れで、基本的には途中で止めずに最初から最後まで稽古するのが「通し稽古」です。
しかし、これまで場面毎に稽古していたものを、いきなり本番さながらの流れで稽古をしろといっても難しいものです。
かと言って、問題なく全通し出来る段階になるまで、全ての場面を煮詰めて稽古しようと思っていたら、いつまで経っても通し稽古になりません。
途中で止まるかもしれないけれど、グダグダになるところが出てくるかもしれないけれど、まだ演出がついていない箇所もあるけれど、取り敢えず最初から最後まで、基本は止めずにやってみようと言うのが、荒通しです。
荒通しを行うことにより、作品全体の流れをそれぞれの役者が掴むことが出来ます。
そして、無理くりに通してみることによって、ある場面からその次の場面への転換が物理的に不可能であったり、早替えが絶対に間に合わないなどの問題点が浮き彫りになってくることがあります。
衣装や小道具がやたら多く、一人で何役もこなさなければならないこの公演においては、自分がどのタイミングでどの衣装に着替え、いつ小道具をスタンバイするかといったことを整理するためにも、荒通し稽古は重要です。
今回酒井は、自分が殺人的な早替えをすることはないようですが、他人の殺人的早替えの補佐に入らなければならないことが分かりました。
しかし、着物と袴が2セットあるという時点で既に大変なのに、トータルで8パターンくらいの格好をします。
それだけの衣装やアクセサリーがあるので、きっと楽屋前は大変なことになるでしょう。
それらのアイテムを上手く整理して、いかに効率よく使用出来るか整理することも、役者の仕事の一つです。
荒通し稽古が終った後、まるで空き巣に入られたかの如くに衣装や小道具が乱雑に置かれているのを見て、つくづくそう思います。
本番中、どのタイミングで、楽屋の中の自分のスペースを整理整頓するかも、荒通し稽古の最中に考えるのです。