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2013/08/13

 

フロントガラスに映るのは森の坂道、

遠く長い道だったはずなのに、

何度も何度も通った道のはずなのに、

ソワソワするのはなぜ、

こんな気持ちになるなんて、

2人で作った森が、

いつの日にか私の幸せな場所、

私の膝の上の冷たいパピコ、

冷たく感じないのはなぜ、

フロントガラスに映る森の坂道は、

雨も降っていないのに、

しだいに雨粒で覆いつくされていくのはなぜ、

 

『おや、

今日は子供たちはいないのかね、

そうかそうか、

子供たちも大きくなって山に来なくなっちゃったか、

それじゃ今日は旦那と2人か、

ほれ、そこにあるジャガイモ持って行きな、

それと、このパピコも持ってきな、

そんな、遠慮しないで、

おらなんか、

旦那も死んじゃったし、

一人息子も死んじゃったのさ、

今じゃ一人、

仲良くアイスを分けて食べる事さえ出来ないんだよ、

ほら、そのパピコ、

中に二つ入ってるから、

戻ったらおまえさんと旦那で仲良く食べなよ、

好きな人と一緒って良いもんだよ、

生きてる間は、

おまえさんも旦那と仲良くするんだよ』

 

丘の上まで来ると、

午後の坂道から、

小さな小さな山小屋が、

陽に照らされて見えるはずなのに、

私の目の前に映る風景が、

次第に涙で前が見えなくなっていくのはなぜ。

2013/08/13 07:13 | watanabe | No Comments