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こんにちは。根本齒科室の根本です。
ついさっき、歯磨きは食後30分がいい説についてのコラム『蘇る重層最強伝説?~』の図のグラフを修正しました。
結論から言えば、食後すぐで構わない、ということです。
今年も猛暑かと思いきや、急激に涼しくなり「戻り梅雨」~ゲリラ豪雨と、天候が優れません。
山陰地方など、大雨で被災された方々には、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
また無断キャンセルが増えてきました・・
最近、思います。
歯科医院は受身である
情報を発信できてない
(痛くならないと歯医者に来ない。彼らは一体何を思っているのだろう)
無断キャンセルに憤慨してばかりでも仕方ないので、彼らの気持ちを慮ってみました。
ふと考えました。
変な話、もし「痛み」が一切発生しなかったら、何人の人が歯医者に来るだろうか。
とくに●歯科からの転院の方々は、少し気になっています。
こちらはネット経由の方と異なり、こちらからの情報発信を経ないで来院しています。
また、患者番号が若い番号の方も、いろいろスムーズに行かないことも多々あります。
この方々は、開業直後に新患登録された方であり、全員ではないのですが、以前まで通っていた古い歯科医院の方針が頭の中に強く入っているように思います。
当歯科室も、当時は今とくらべると予防や情報発信の面が非常に脆弱で、周囲の目には「ただ単にそこに新しい歯科医院があった」というだけだったのでしょう。
ですから、従来型の
今の所(痛い所/取れた所/途中の所)以外や生活習慣・食習慣には問題がない
そこをふさいだり付ければ、「治」った
人工物であっても、実質的に「可逆的」な結果が得られる
このあたりが固定観念として頭に入っていたし、いるのだと思われます。
この壁を何とか壊すのが、とても大変なのです。
ひとつには、ただでさえ億劫な歯医者で、あらたに面倒くさい話を押し付けられることには、強い抵抗があるだろう、ということです。
これは心情的によく理解できるのですが、もうひとつは、ご自身の考え、というか歯科観を変えることにとても抵抗感が強いようなのです。
「歯医者はこういうもんだ」
「ただでさえ億劫なのに余計なことは考えたくない」
逆にネット経由や、優良な経過をたどった方の紹介患者の方の場合は、ある程度下調べの形で、本コラムや公式HP、スタッフやDrから情報を得ています。
情報そのものというよりも、医院の考え方や視点をある程度把握してから来院しているので、それはそれはもう、圧倒的に話がしやすい。
興味深いのは、従来型の固定観念(発想)が、ケガや病気などの医科一般の疾患に対する発想と同じことです。
医科一般であれば、原則的に、主訴以外のところには問題がない前提で受診するでしょうし、ガンとか慢性疾患でもないかぎり「可逆的」なので、元のように「治」ることも織り込み済みで来院することでしょう。
ですから一般の人が、むし歯やダツリ、歯周病などの歯の問題を、歯のケガや病気だと思うのは無理もないところではあります。。
「医者も歯医者も同じようなものだ」
「歯医者は歯の医者だ」
こんなときだけ、そんな風に思う、というより、これが日本でのコンセンサスなんでしょう。
しかし、その成り立ちや性質はまったく逆でしたね。
たとえば急に歯が痛くなった場合、その原因は、むし歯だけに限らず、歯周病だったり、打撲(咬合性外傷)だったり、慢性炎症の急性化だったり、知覚過敏だったりするわけです。
また、何も原因がないのに起こる歯痛も、案外あるものです。
当人としては『痛い』のを何とかして欲しいところでしょうねえ・・・
我々としては、それもありますが、当然、痛みの裏にある根本原因やその除去・回避に目が行きます。
それは、残念ながら、歯医者はそれしかできないからです。
フィリピンの心霊治療ではないので、「痛み」を直接認識・目視したり除去したりできません。
これだけでも、出だしから大きなミスマッチかもしれない。。
とすると、変な話、もし「痛み」が一切発生しなかったら、何人の人が歯医者に来るか。
むし歯になっても痛くない。
歯周病になっても痛くない
知覚過敏もない。
親知らずなどが脹れても痛くない
歯が折れても痛くない
・・・!
おそらく10人中9人、いや100人中99人は、歯医者なんかに来ないと思います。
一部の、目立つ部分が崩壊してみっともないとか、欠けた部分が舌などにすれて痛いとか、そのような「不便」を感じている人は別ですが、それ以外は来ないでしょう。
仮に奥歯のほうが数本崩壊しても、どうせ目立たないし、どうせ痛くならないなら、わざわざ歯医者に通ったりする人はいませんよね。
私ももし歯科医師でなければ、生来の面倒くさがりだし、行かないだろうなぁ。
そうすれば、必然的にむし歯や歯周病は進行し、40代以降になれば、半分程度の方の歯は崩壊しかかっているか崩壊していることでしょう。
芸能人とかモデルとか、人前に出るショービジネスの人は、歯の管理も大事なので審美修復とかにお金を使うかもしれません。
しかし、なにしろ痛くないのだから、歯の治療事態に喫緊の必要性も生まれず、不要不急の処置となり「おしゃれ」「ぜいたく」の範疇になることでしょう。
なぜそのように思えるか?それは、こういう理由です。
◆ 「ハゲ」の範疇の方々に見る社会的認知の問題
昔からポパイやホットドッグプレスなどの若者向け雑誌に繰り返し書かれていた、モテない代名詞?!「ハゲ デブ チビ」のハゲ(以下「禿髪」と記す)・・
今のところ、加齢による禿髪は非可逆的な状態だと思われています。まだ確たる治療法はありません。
(肥満は当然可逆的、低身長は、一定の基準を満たせば仮骨延長法による長身治療が可能)
むしろ堂々と禿髪を隠さずにしていたほうが男らしい、という意見も根強いですよね。
「最終的には中身だ」
いいですよね、山田勉さんとか、ジャック・ニコルソンとか、故マイク・ベルナルドとか。
周囲の雰囲気や、見ている方の気持ちまで明るくなってきます。
いっぽう、禿髪そのものを治す治療は今のところ、ほとんど確立していません。
私が高校の頃、もう4半世紀も前になりますか?中国で「101」という、へバンドのようなものを併用した育毛剤が開発されたという話になり、男性の先生方が大挙中国旅行に押しかけたことがありました。
しかし、その後芳しい結果が出た先生は、いなかったようでした。。
そのあと流行った、例の「痩せる石けん」も、ダメでしたねぇ。。
ですから結果として、禿髪は禿髪のままになるか、かつらを購入することになります。
とりわけ男性は、堂々と人前に晒してもまったく問題ないというのが世界のコンセンサスです。
そしてここが大事なところですが、禿髪は「病気」扱いされていません。
同じように、近視・遠視・乱視なども「病気」扱いされていませんね。
「何を当たり前な」という声が聞こえてきそうですが、これは歯でも全く同じことが言えませんか?
今でも、ドキュメンタリーやインタビューで、国内外を問わず農村部などの高齢者を見ると、歯が何本か欠けている人や、差し歯丸出しの人も少なくないですよね。
しかも最近はテレビの画質も飛躍的に向上したので、目立つこと目立つことw
私も仕事柄、どうしても話の内容そのものよりも、まず口元と顎顔面骨格に目が行ってしまいます。
◆ 対米追従
「歯をしっかりしていないのは、米国的 国際的には自己管理がなってない証拠だ」
「歯をしっかりしていないのは、米国的 国際的にはマナー違反/エチケット違反」
いつからか、こんなことがまことしやかにささやかれ、メタボとむし歯は肩身が狭くなっていきました。
20年前くらいからだと思います。
「朝まで生テレビ」がまだ黎明期でした。田原総一郎さんの髪の毛が黒々としており、西部邁、枡添要一、栗本慎一郎などの士々斉々が非常に若々しかった頃です。
今では『グローバル化』と呼んでおりますが、当時は『国際化』と呼んでおりました。
その頃も移民による単純労働の問題が取り沙汰されておりました。今のような長引くデフレに象徴される「低血圧の日本」とは異なり、バブルの余熱が十分に感じられる「高血圧の日本」でした。
そういう意味では、需要>供給、だったので、規制緩和やサプライサイドの改革、消費税は時宜にも合っていたのかもしれません(今みたいな需要<供給のデフレ期に、サプライサイドの改革なんてとんでもないと思いますが・・)。
あるとき、著書『労働鎖国のすすめ』で有名な西尾幹二先生が、一人で単純労働移民に反対の論陣を張り、一対他全部、みたいなとんでもない回がありました。
記憶では、高市早苗政調会長(現)が、前髪ありのピンク(だったと思う)のワンレンボディコンというモロにバブルっぽい出で立ちで、やれ自由化だ国際化だと、キンキンとまくし立てて関西弁で西尾先生を痛々しく罵倒していたのを懐かしく思い出します。
このときに、私は初めて、(日本とアメリカは根本的なところが違うんだ)と実感しました。
自由化に伴って枕詞の用についてくる単語。
「自己責任」
ホント、どうとでも取れる、いやらしい言葉ですね。
少なくとも、基本的に政治で使っていい言葉じゃないですよ。
セクハラブームwwwもそうですが、アメリカで流行って何年かたつと同じことが日本でも流行るといわれ続けてきました。
アメリカも、現在でこそ格差社会といわれているが、戦中戦後などは「分厚い中間層」などと言われて、日本以上に格差の少ない社会だったと知ったときは本当に驚いたものです。
そうそう、例の日銀異次元緩和「黒田バズーカ」も、バーナンキのQE1-2-3のマネ、とも言えるかもしれません。
先般はじめて逆転現象が起きました。
夕張市に遅れを取ること6年、ついにデトロイト市が破産しました。
時代の潮目は変わってきているのかもしれない。
「ロゴフ・ラインハート論文」の誤りに象徴されるような思いですが、国の借金(内債)が危険だというのもほとんどウソであることが示されてしまい、EUも、もうダメでしょう。
産業革命・大航海時代に端を発する新自由主義やグローバリズムも、今までのようにはいかなくなる感じがしています。TPP交渉も、ずいぶんグダグだな感じのようだし、中野剛志先生や柴山啓太先生が言うようなリショアリング(国境が意識される時代)へのゆり戻しなのかもしれません。
その水先案内人となるのが、まさに新自由主義やグローバリズムの申し子のような
TCP/IPプロトコルというのも皮肉なものだ。
もともと米軍の軍事用通信技術だったものが、メール、インターネット、と爆発的に普及し
ブログ、SNS(ツイッター、フェイスブック、ラインなどが代表的)などのより双方向的な
ツールの拡充によって、触れずして手軽に世界を知り、感じることができるようになり。
結果として、1%と99%の相克、規制メディアとそれによるコントロール力の減殺が生じた。
「日本はもう敗戦国のままでは嫌だ」
このような主張が、倉山満先生だけでなく多くの人たちの心の中に広がってきたのも
敗戦から時間がたったということもあるが、それらの情報ツールの役割も大きい。
それはもちろんかつての帝国主義のような野心的な挑戦を志すということではない。
TCP/IPという情報ツールは、理想像を「普通の国」の範疇にとどめおくにも、一定の
抑制的役割を担い得るだろう。
かつて朝日新聞が戦争(というか敗戦革命)を煽ったような、メディア主導の大ブレは、
もうほぼないだろう。
日本では「芸能人は歯が命」というCMも流行し、松田聖子の再婚も話題になりました。
彼も『米国で』審美歯科を勉強したとのふれこみで、「審美歯科」ということばが一躍脚光を浴びました。
ところで、芸能人はそうだとしても
「一般人は○○が命」
と考えてみたら、今は○○の中に入る単語は何でしょう?
雇用 生活 家族 スマホ 安心 安全 金 健康 アベノミクス第二の矢
・・・
いろいろあるものの、少なくとも分かることは、どうがんばっても○○の中に「歯」は入ってこないですよね。
であれば、一般人は歯が命ではないのだから、禿髪や肥満と同様、少々乱れて(むし歯や歯周病など)も堂々と放っておけ、ということになるのが自然の流れでしょう。
さきほど、グローバル化の時代が終わりを告げつつあり、リショアリングのきざしが、と言いかけました。
歯についての『自由化・国際化(グローバリズム)』を考えると、おそらくインプラントや審美歯科のような、まさに”自由”診療中心主義の流れがそれだったようにも思います。
その流れを踏まえてのリショアリングがあるならば、予防や、食習慣・生活習慣を中心においた、メンテナンス主義の方向に進んでいって欲しいものです。
間違っても、昭和時代の「治療中心主義」の方向に逆戻りしないことを祈っています。
【今回のまとめ】
「痛い」は医療の強い動機のひとつだが、歯科にそのまま適用するのは強く疑問である。