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2013/07/30

月に囚われた男
【MOON】
2009年 同僚のすすめでビデオで見る。

先日、と言っても少し前だが、トム・クルーズ主演の
オブリビオン【Oblivion】を見た。見終わって、ストーリーの展開や
圧倒されるCGでの見事な情景、と見え方は異なるものの、大元の発想とコンセプトは
『月に囚われた男』と同じじゃないかしら?と感じ見直してみる。

必要なエネルギーを月で採掘し、それを地球に送るため、
3年間の任務で単身月で働くサム。唯一の会話は、基地のこと、
サムの身の回りのことを全てこなすガーティ【Gerty】と呼ばれるロボットとのみ。
通信機の故障から地球とはライブで連絡を取り合うことができず、
ビデオレターのやり取りだけが他の“ヒト”との交流手段。

自分がこの環境にいたら、気が狂いそうである。
3年という時間は短いようで、ヒトが一人ですごすには長すぎる。

ちなみにガーディの声は、オープニングにクレジットが出てくるがケビン・スペイシー。
特徴ある声なので、すぐ分かる。

あと2週間で地球に帰る、という期間に入り、サムは採掘場で事故に遭う。
そして幻覚なのか現実なのか、基地に自分以外の男が現れる、、
というところから話が始まる。

果たして、最終的なメッセージは『月に〜』の方が社会に訴えている要素が多いが
ひょっとしたら近い将来、私たちのまわりで起こりうるのでは、という本筋が
オブリビオンととても似ていた。ネタバレになるので、そのテーマは映画で見て欲しい。

『月に〜』独自の面白いところ、と言えば
その3年という孤独な過酷な日々が、サムに自分自身を振り返させ、反省させ、
すぐに頭に血がのぼるタイプから、他人への思いやりを持つまでに変換されたことが、
後半の会話や各シーンのシチュエーションから読み取れるところ。
2度目に見て気がついた。

その変化が分かるシーンの一つで、
特に大きな事ではないがちょっと気になった言葉。

どうにもこうにも、この基地はおかしい、
『俺たちの知らないエリアがあるはずさ。見つけるぞ。』
と意気込み基地の中を探索し始める男に
達観したのか慣れなのか、特段慌てずサムが冗談交じりに答える。

===

財宝も見つかるといいな
Yeah, maybe you’ll find some buried treasure, too.

===

単純に、財宝は、“buried” されていて、埋もれているから財宝なんだな、と。
埋もれているからには、誰かが埋め、
埋めるに至るには誰かが財を集めなくてはならない。

宝に等しい言葉で、gold mine という言葉があるが、金鉱、と
自然に出来あがっている宝の山的な意味が強い。

それに比べるとtreasureはとても人為的な産物なのだなぁ、と思う。

何もない月の基地に、一体誰がどんな財宝を隠せるのやら、
単に茶化して言ってる言葉だけど、すでにサムはすみずみまで探し済みで、
探せるなら掘り当ててみろ、的な、彼の気の長くなるような3年間を感じる一言でした。

2013/07/30 04:50 | masaki | No Comments