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2013/07/01

 

『ヤッフォー、

山の上の方で桑の実が取りほうだいだから、

取りに行かない!!』

 

ついさっきまでベランダで森の中の庭を見ながら、

カモミールティーを飲みおしゃべりをしていた山友2号が、

もう帰るよと言って、

バギーで立ち去ったはずなのに、

ほんの30分後に食べごろの桑の実がいっぱいついた、

枝を大量に抱えて戻ってきました、

そろそろ桑の実が取れる季節と思ってさ、

山の上の方のいつものポイントに行ってみたら、

取りきれない程の桑の実が俺たちを待っているんだよと言って、

1人で取るのでは面白くないと、

わざわざ桑の実のついた枝をいっぱい持って来て、

いかにもという感じで私たちを誘いに戻って来ました、

誘われたら断れない山友の仁義、

早々に私とママは車に乗り込み、

山友2号のバギーの後をついて山の上の、

頂上付近のいつもの場所、

遠くには霞がかかった赤城山が見え

まるで幻想的な水墨画のような光景、

そして目の前には、

まるで私たちに取ってもらうのを待っていたかのように、

熟した桑の実が枝に数珠なり、

思わず3人で籠を持ちながら、

指が紫色に染まるのも気にせず、

熟した桑の実を取り始めました、

桑の木に枝にそって指をなぞるだけで、

熟した桑の実がホロホロと籠の中に、

手の届く桑の実をあらかた取りつくすと、

残るは手の届かない所にある熟した桑の実、

ふと思いついたのは、

昔TVで見たナッツを収穫する方法、

ナッツの木の下にシートを引き、

重機でナッツの木を揺さぶる方法、

私は車のトランクからビニール傘と釣り竿を持ち出し、

山友2号が桑の実の下で傘を逆さまに持ち、

私が釣り竿で手の届かない高いところの、

桑の実のついた枝を揺らすと、

バサ・バサ・バサ、

バタ、バタ、バタ、バタ、バタ、

なんと桑の実が空から落ちて来るでは有りませんか、

それも雨あられのように、

熟した桑の実が空から落ちて来るではありませんか、

ビニール傘越しに見える桑の実の落ちて来る光景は、

3人を子供のように笑わせるには十分すぎる程で、

終いには笑いが止まらなくなり、

この桑の実が総て金塊だったら、

俺たち大金持ちだよね、

ねえ、それって、

昔見たアランドロンの映画の冒険者たちじゃない、

確か、男2人と女1人の・・・、

やめてくれよ、あの映画では、

最後に女が死んじゃうんじゃなかったっけ、

そんなことを言いながら、

ほんの30分程でボールいっぱいの桑の実の収穫、

確か俺たち20年前も10年前もここで桑の実を取ってたよね、

きっと10年後も俺たちここで桑の実を取ってるんだろうね、

ひとしきり桑の実を取り終わり、

足元を見ると、

地面に落ちた桑の実を必死になって食べているロッティ、

なんてあなたはお利口なのとママが笑います、

そして3人は山を下り、

まるで子供のようにはしゃいでいます。

翌日の朝食は、

早速にママが作った甘酸っぱい桑の実ジャムを、

焼きたてのパンにつけ、

口の中に放り込みます、

森の中の出来立てのベランダで、

フレッシュカモミールティーを飲みながら、

又、子供に戻れる、

10年後を思いながら。

2013/07/01 02:56 | watanabe | No Comments