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2013/06/30

毎年夏になったな、と感じる瞬間はどんな時でしょう?

今年始めて冷房を入れた日
今年始めてビーサンを履いた日
今年始めて蚊にさされた日

色々予兆はありますが。

私の場合は何と言っても「海が身体に戻って来た」という感覚がやってくる日。これが夏の始まりです。

 

これはフリーダイバー全般に共通の感覚ではなく、私のちょっと変わった体質特有のお話です多分・・悪しからず。

深度競技には耳の圧平衡=耳抜き、が必要です。deepに潜る選手はこのためのテクニックを取得しているものなのですが、私の場合はラッキーなことに、「自動的に耳抜きが出来る」(本来意識的に行うはずの耳抜きを無意識にしている、という感じでしょうか)体質です。これは、特に肺活量が多い訳でも、息堪えが得意なわけでもない私の、唯一のフリーダイバーとしての特技(?)といえます。

一方で耳抜きが「完全に身体任せ」なので、自分の意志でコントロール出来ないという困った点があります。(はい、、テクニックも取得せねば。汗)私は、シーズン始めは耳が水圧を思い出してくれるまでは殆ど潜ることが出来ません。皆がどんどん深く潜りだす中、私はひたすら、耳に慣れてもらうまで、-5m、-10m、-15mとちょっとずつちょっとずつ、潜ります。でもこの状態だと-20mが限界。昨年平気で-50m以上潜っていた自分など想像もつかない状態です。

が、これを数週間続けていると、「その日」がやって来ます。
ちょうど先日。ウォーミングアップで軽く5-6mロープを手繰って潜っている時
「あ、海の耳になってる!」
と、すぐに気がつきました。-5mでも、この感覚の違いは明白なのです。
試しに潜ってみると、-35mのボトムプレートまでスーッと違和感無く到達しました。
久々の、海に身体が吸い込まれて行くような、
青い世界にやっと自分が入って行けたようなこの瞬間。
水圧が窮屈な場所ではなく、とても広くて、冷たいのに温かい場所に感じる瞬間。

 

「ああ、やっと身体が海モードになってくれた」という感じです。

この感覚は、こんな表現はおこがましいのかもしれませんが、
「自分が海に戻って来た」のではなく「海が、自分の身体に戻って来た」
とでもいう少し不思議な感覚です。

少しずつ海に通って、浅瀬で海藻を見たり、船に乗ったり、
ボートハウスで、真鶴で釣れたシメサバやアジの干物をご馳走になったり、
海帰りにアイスなど食べたり、そういう一つ一つのプロセスを経て、
いつのまにか、だんだん身体が海仕様になって来る気がしています。

テクニックではどうにもならない、自分の身体が海に馴染むための毎年のステップ。
自然に四季あるように、たぶん人間の身体にも四季があるのかもしれません。

ともあれ、こうして今年も夏が始まりました^^)

 

photo by Mitsuhiro Kojima
Yuko Senga 

2013/06/30 11:20 | yukimuto | No Comments