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2011/02/23

そんな才能に恵まれていないことは分かっていた、
自分で枠を作り、
その枠からはみ出そうとしない自分のことも分かっていた、
ほどほどの才能と、
ほどほどの努力で、
私は社会と繋がっていることも分かっている、
自分を追い越すことも、
自分を追い込むことも、
日々を無駄に過ごすことも、
自分が感情的になることも、
いつも周りの目が気になって慎重になっていた自分、
自分の知らない世界に入るのも本当は怖かった、
眠れない夜も、
孤独と言う言葉も頭から消し去り、
笑う事が有ってもいつも笑顔の裏には冷たい刺が隠されていた、
好きな男がいないことも恥ずかしくはないが、
自分を傷つけないように、
そんな話が出ると話をごまかす習慣もすっかり身に付いた、
今も楽しそうに過ごす人を見るのも嫌いで、
人生に希望を持って生きている人達も嫌いで、
大人になっても、
一人でいることが怖かった私、
自分の弱さを隠す為、
自分を隠してくれる友達が欲しかった、
自分よりも弱い友達を集め、
私が何かを言えば思い通りに動いてくれることは分かっていた、
皆を感情的にさせる魔法の言葉も分かっていた、
私は全てを心得ていた、
言葉だけで誰でも動かせることを身につけた、
相手の不安をあおり、
相手の意志を理屈で奪い誘導しさえすれば誰でも好きなように動いてくれる、
ただ私が未だにコントロールできないのが、
自分の感情だと言うことも分かっていた、
彼女はそのことにだけは触れないようにといつも気を使って来た、
全ては弱い自分を守るため、
もしも、私が子供の頃に戻れるなら、
もしもあの時、
大人に良い子ねと言われなかったら、
私は良い子になろうとは思わなかったはず、
私は別の私を選んだはずなのに、
二度と戻れない子供の頃に戻れるなら、
もっとママに強く抱きしめてもらいたかった、
もっとパパに弱い私を見せたかった、
好きだったあの人に涙を見せられたのに、
あの頃の私はどうして逃げたんだろう、
二度と戻れない子供の頃に戻れるなら、
私は彼女に伝えてあげたい、
不安はあなたの通り道、
世の中を傷つかないように遠ざけるのは止めて、
愛することは誰にも教わらないのよ、
あなたは誰の為にでもなく、
あなたの役を演じる為に生まれて来たのよ、
もうごまかすことは何もないのよ、
あなたはあなたの思ったように、
あなたの役を演じていいのよ、
強い自分を演じるのは疲れたでしょ、
大人になってもあなたは子供のままでいいのよ、
大人は子供の続きだから、
あなたは何も変わらないはずだから、
きっとそんな私を、
子供のあなたは望んでいたはずよ、

今日見える景色と、
明日見える景色が違って見えたら、
私も違っていく。

2011/02/23 06:55 | watanabe | No Comments