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マレーシアの子供達に日本の文化を知ってもらうイベントで、焼きそばを作るワークショップをすることになった。
イベント数日前に問題がおきた。
それは、マレー人の言った何気ない疑問だった。
「焼きそばで使うソースはもちろんHalalだよね?」
関係者一同、ただ呆然。
マレーシアには沢山の日本食レストランがあって、和民や一風堂、武蔵、山頭火などのラーメン屋、お寿司、焼き鳥、お好み焼き、たこ焼き・・・驚くほどに日本の食べ物が受け入れられている。
だから、ソースについて全く心配はなかったし、ソースに「Halalマーク」が付いているかどうかなんて気にしなかった。
けれど、イスラム教徒にとって「Halalマーク」のないものを口にすることは、大きな心配事となる。
みんなでジャスコに駆け込んで、ソース売り場の全てのソースの裏側を見た。
結局、「Halalマーク」はなかったけれど、動物を使っていないので大丈夫だということで落ち着いた。
この「Halalマーク」。イスラム国家に行けば必ず目にする。
マクドナルド、スターバックス・・・おなじみのお店にも必ず「Halalマーク」が掲げてある。
イスラム教徒にとって、お酒や豚は禁忌。
けれど、それ以外の動物に対しても一定の加工や調理法が決まっている。
例えば、動物の解体においては、イスラム教徒がお祈りを唱えながら殺し、血を全て抜いてから解体処理をしなくてはいけない。
お菓子、飲料水、卵、ヨーグルト、牛乳、油、化粧品、洋服、シャンプー、歯磨き粉・・・日常で触れるあるあらゆるものに「Halalマーク」が付いている。
イスラム教徒ではない私にとっては、全く気にならないこのマーク。
でも、イスラム教徒にとっては絶対に必要なマークなのだ。
マレー人を自宅に招く時には、豚肉やお酒を使った調理器具や食器を使わない、豚肉が入っている冷蔵庫から食品を取り出して提供しない・・・イスラム教徒に対する配慮はとても大切。
それは、宗教の下で禁止されることがない日本人にとっては、本当に不思議で、そこまでしなくてもいいんじゃない?と思ってしまうこともある。
アジアに進出している日系企業も例外ではない。
日清食品のラーメンやキューピーのマヨネーズ、花王の日用品など、巨大なイスラム圏の市場向けに「Halalマーク」を取得して製品を出している。
日本人にとっては馴染みのないイスラム教徒の文化。
世界を見渡せば、世界人口の4分の1の120億人がイスラム教徒なわけで、この「Halalマーク」の後ろに広がる市場は莫大なもの。
「Halalマーク」の市場は60兆円を越えるとされていて、世界に進出しようとする日系企業も無視できないのが現実。
たかが一つの宗教の決まりごと。
けれど、その宗教の掟は巨大市場を生んでいる。
馴染みのないイスラムの文化がこうして身近なものになっていき、そんな市場で戦う日系企業を見ると、宗教の影響力というものを考えさせられる。