« 麻生悌三のブラジル不思議発見 42 翼に爪(剣先―骨の突起)を持つ鳥 | Home | インフラレッドに誘われて. »
鳩の気まぐれで着地場所が変わり、今回は運悪く何もない所で降ろされてしまった。
鳩の運転手に聞いたところ、南の方に歩いていくと町があるとの事。
長い鳩旅を終えた私は疲れ果てていて、とりあえずどこかでゆっくり休みたい一心で町のある方に歩き出した。
少し歩くと草原の中に大きな建物があった。
外から中が丸見えで、中には藁が沢山敷いてあるではないか。
漫画でフカフカの藁に埋もれて眠る場面を何度も見た事がある。
あの中で寝たら気持ちいいだろうな〜。密かに憧れていたんです。
私は誘惑に負け、その建物の中に入ろうとした。
すると突然後ろの方からピ〜っと笛の音が聞こえたと思ったら、『こら〜!』と怒鳴り声が聞こえた。
私はビクっとなって慌てて建物から離れ、すいません!っと大きな声で謝った。
『いやいや、あなたを怒ったわけじゃないんです!この子羊のピーコが隊列を乱すものでね。あっ!こらピーコ!そっちじゃないだろ!』
青年が五匹の羊を連れて歩いてきた。
『どうも私は羊飼いの八木と言います。こらピーコ!』
私も簡単な自己紹介と旅の目的を伝えた。
『なるほど。町の方に行けば良い家があると思うよ。こらピーコ!でも今日はもう遅いから僕の家に泊まりなよ。』
いつもの私なら即答でよろしくお願いしますと言っただろう。
しかし今日はいつもと訳が違う。
私は無意識にチラチラと藁を見ていたようだ。
それに気づいた八木さんは
『もしかしてここに寝たいの??』
私はコクリと頷いた。
『いいよ!その代わり羊が逃げないように門締めて行くから、明日の朝まで外にはでれないよ。』
問
題ないです。
『それじゃあ、また明日来るね。ゆっくり休んでよ。』
そう言いながら八木さんは門を締めた。
『あっ!羊の糞あるから気をつけてね。』
えっ・・
そう言い残し八木さんは帰って行った。