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2013/05/31

4兆円市場と言われる魅力的なLGBT市場へ参入をしたいけれども、企業イメージや大多数のヘテロセクシャル(異性愛者)の顧客の反応を考慮して、具体的な商品やサービス開発は先送りする会社が多くあります。

今はまだ時期尚早という結論に至るわけですが、そこから一歩踏み出して、実際の商品やサービスの開発に着手したとしても、ニーズのデータが不足しているため、客観的で正確な情報に基づいたマーケティングが困難なのも事実です。

セクシャルマイノリティ特有の需要を考えるには、彼らのライフスタイルを分析しなければならないわけですが、LG(レズビアンとゲイ、すなわち同性愛者)とB(バイセクシャル、すなわち両性愛者)とT(トランスジェンダー)では、そのライフスタイル自体も異なるので、LGBT市場全体にグサっと串刺しのように突き刺さる商品やサービスの開発は難しいのです。

さらに、セクシャリティの違いだけで、それが商品やサービスの購入者・受益者としてヘテロセクシャルと明確な行動相違をもたらすとは限りません。

厳密にLGBT向け商品・サービス開発をしようと思えば思う程、その作業は困難を極めます。

商品やサービスをLGBT当事者にも好意的に受け止められるような内容にするとか、ファッションやイメージ戦略によって、セクシャリティによる壁を感じさせないような演出をするといった、緩やかな融合路線なら近々に取り組む事が出来るはずです。

ただ、以下にあげる具体的な商品・サービスは、LGBT当事者の方から熱望する声の多いものです。

①同性同士(特に男性同士)で宿泊可能な温泉旅館宿泊プラン

②海外のゲイスポット(ビアンやトランスジェンダーのスポットの場合も)への観光をオプションとして選択できるツアー

③携帯電話のいわゆる家族割に、同性のパートナーも含んで欲しい(既に対応済みの通信会社もあるとか…)

④同性パートナーと一緒に入れるお墓(納骨堂など)

⑤LGBT向けの介護施設(老人ホームやデイサービスなど)

⑥LGBT向けの政治・経済情報誌(非アダルト情報)

⑦LGBT向けの不動産賃貸仲介・販売

⑧LGBT向けの冠婚・葬祭

これらの8つは、レインボーサポートネットにLGBT当事者の皆さんから、当該事業を行っている会社やお店の紹介を求める問い合わせが多いものです。LGBT市場への参入をお考えの方、参考にされて下さい。

次に問題なのは、こうした商品やサービスを開発したとして、それをLGBT当事者にピンポイントに周知するために、どのように広告・宣伝したら良いのか?という点です。

これについては、現在のところ唯一、インターネットが解決してくれるでしょう。

様々な市場の掘り起こしが経済の活性化にもつながるはずです。経済の観点からLGBTに光が当たれば、その存在は無視できないものとして、接遇向上にも効果をもたらすと思います。

あらゆるマイノリティ向けのサービスは、その質を高めることで、多数者のサービスの質の向上にも貢献し、企業価値を高める効果もあります。その事に、多くの事業者が気づいて欲しいものです。

2013/05/31 12:01 | nakahashi | No Comments