« 再度、内子座 三増 巳也 | Home | 『続・彫刻刀で楽しむ仏像』出版 »
久々の森にきてみると、
すでに春の風は去り初夏の風に変わっておりました、
森の木々は萌葱色から色鮮やかな新緑色、
ホウの木の下を通りかかるとほのかに甘い魅力的な香り、
空を見上げるとすでに今年もホウの花が、
青い空と緑の葉の間に白い花を咲かせています、
庭に出てみるとジャーマンアイリスが私たちを待っていたかのように、
いっせいに一番花を朝陽に花びらの美しさを見せつけるように咲いています、
植物はまるで季節の順番を待つように、
花を咲かせているもの、
莟を膨らませているもの、
やっと土の上に新芽を送り出したもの、
総ての生き物が、
季節の順番待ちをしているかのようです、
森では、
テラスを作る私と、
庭の手入れをするママと、
飛び始めた虫たちだけが、
初夏の森の風を独占しております、
ほとんど出来上がったテラスでママとお茶をしていると、
どうも作り付けの鳥の巣箱のあたりが騒がしいようです、
じっと巣箱を見ていると、
なんと、シジュウカラが出入りしています、
巣箱を取り付けて5年目にしてやっと鳥が、
子育てをしているようです、
『パパ、やったね、
それにパパ、今日は鳥の巣立ちの日みたいよ、
さっきから鳥が巣箱の入り口でパタパタしたり、
変な飛びかたで地面に降りたり、
又飛び上がったり、
鳥の巣立ちの日に立ち会えるなんて、
なんてラッキーなんだろう!!』
ママが鳥たちを驚かさないようにと、
巣箱の周りの庭の手入れをしていると、
木の根元でか細い鳥の声、
梢では雛を心配するように親鳥の鳴き声、
『パパ、パパ、
どうも鳥の巣立ちではなくて、
雛が巣箱から落ちて、
親鳥が心配でその周りを飛び回っているみたい』
巣箱の木の根元を覗くと、
笹の葉の影には、
全身産毛ではげ頭のシジュウカラの雛が、
梢の上では親鳥が大きな声で鳴いています、
そっと匂いがつかないようにタオルで雛をくるみ、
梯子に上ってシジュウカラ雛を巣箱の中に、
私たちがその場を離れても、
親鳥は今まで雛がいた地面の側を飛んだり、
梢から大きな声で雛を呼んでいます、
夕方温泉から帰ってベランダに出てみると、
明るい月で照らされた森の中の庭は、
静かな眠りについています、
きっと親鳥は巣箱の中で、
雛と一緒に安心して眠りについているようです、
初夏の森では、
生き物たちが命の支度を、
今年も始めたようです、
満たされた生活の中で、
満たされないと思う事があったら、
初夏の風の香る、
森の中を歩くのもいいようです。