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制作手記10
永遠に続く曖昧を許容するすることができるか。
作品をつくる。そういった場合、どこをどうするのか、どこで完成とするのか、
作者はすべてたるすべてを判断し、やりきらねばなりません。 (だからこそ作者なのですが)
「ここはこう。」「そこはそう。」とすべて。
このことは僕のような絵描きくずれな絵描きでも物凄く重圧を感じます。
第一線でご活躍される作家の方々のそれは測り知れないものです。
だって、「本当にそうなのか?」と疑い続けなきゃならないんだもの。
しかも、この先も続くであろう制作活動であるのに、そういった答えが出るのかって。
僕の場合、そこで厄介なのは、「なんでも白黒つけたがる癖」。
さらに厄介なのは、「自信が持てなくなると言葉による理を持ち出し、無理やり自身を納得させる癖」。
そうなった場合、100パーセントの確立で作品の出来が良くない。100パーセント。
作品の出来が良い時ってのは色々がすんなり納得できるものなんです。
見て、イイと感じてるわけだから、いちいち考えないし。
でも、そういうのって滅多にない。
だいたいが、「納得いかないが、手詰まりだ。」で描き終える。
20代の頃はこれが嫌で嫌で、言葉で理論武装して傷つかないように必死でした。
なぜこんな話をするかと言いますと、 今回、モデルになっている彼の言ったことによって、すごく楽になった経緯がありまして。
この「彼」も絵描きで、おもにエアブラシを使用した具象作品を描くのですが、 ガチガチに決めていく僕の仕事に相反して、彼の仕事は常にフンワリしているのです。 まあ、エアブラシがそういった道具なので当たり前と言えば当たり前なのですが。 で、僕から見たら、どの段階で、どういった判断で完成としているのか、疑問に思い、聞いてみたのです。
「ねえ、どこで完成とか、どういう判断というか、そういうのどうなの?」と。
彼は作業をとめて、軽く首をかしげて言いました。
「完成とか、ぶっちゃけなくない?むしろ完成させたくない的な~。次に繋げる的な~。」
…マジか… …そんなこと考えたこともなかった……眩暈がする…
「完成できないことを理解したうえで、尚且つ完成させようと努力する。」
すげえ。
この出来事があってから、以前より自分を許容できるようになりました。
で、制作の経過ですが、7割くらい。 ようやく決まる気配がしてまいりました。
ビビり出す頃合いですが、感じた通りにやります。
失敗も、曖昧も、ずっと続く。 理をこねても意味がない。