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今回は、鍵盤ハーモニカについて書いてみます。
ぼくは、トランペットの持ち替え楽器として、鍵盤ハーモニカも時々吹きます。
トランペットとフリューゲルホーン、そしてトランペット+ハーマンミュート、この3つの音色バリエーションでライブを乗り切っていますが、第四の音色として、鍵盤ハーモニカも使用している次第です。
といっても、鍵盤ハーモニカを吹く曲は、バンド・オリジナル曲の中で1曲だけです。
日々練習しているわけではないですし、かつ、ピアノを弾けるわけでもないですし、ぼくが鍵盤ハーモニカを吹くのはあまりに「なんちゃって」…。ライブでは鍛え上げた芸を披露すべきですので、鍵盤ハーモニカの演奏を披露するのは、極力控えめにしています。
しかし、演奏すると、案外、お褒めのお言葉をいただけたりもします。
自分的にも、なかなか良い感じでできているとも思っています(自分的なジャッジもかなり甘めなのですが…。ラッパには自分ジャッジはそこそこ辛いですが、鍵盤ハーモニカに関しては大甘です…)。
しかしですね、鍵盤ハーモニカって、管楽器奏者の持ち替え楽器として、大いにアリ、なんです。
息のコントロールで結構な表現力を発揮できる楽器なんですよ。いつも息のコントロールで歌心を表現している管楽器奏者にとって、そのノウハウをそのまま投影することができる楽器なんです。
ちなみにぼくは、鍵盤ハーモニカを吹くときは、ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンスの演奏をイメージして演奏しています。トゥーツ・シールマンスだったらこう吹くだろうという気持ちで演奏します(結果はどうあれ…)。
ところでぼくは、老人になったら鍵盤ハーモニカを主力楽器にしよう、とも考えています。
90歳くらいになって、ラッパなんて吹いたら死んじゃうよ、というくらい体力が衰えたとき、アイデンティティを失うことになってしまいます。そのときの保険として、鍵盤ハーモニカを大事にしていこうと思っている次第なのです。
老人ホームで、「おーたさんの鍵盤ハーモニカを聴きたいわ」とか、職員の若い娘さんとかに言ってもらえたらうれしいですね。
…。
って、そんな話で終わってしまったらあまりにもですので、鍵盤ハーモニカ・豆知識を展開してみますね。
鍵盤ハーモニカと言えば、『ピアニカ』のことを思い出す人が多いと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、『ピアニカ』はヤマハの製品名です。
ちなみにぼくが使っているのはヤマハの『ピアニカ』ではなく、鈴木楽器製作所(SUZUKI)の『メロディオン』です。
『ピアニカ』も『メロディオン』も、概ね構造は同じだと思いますが(多分…)、それぞれ音色に違いがあります。
バンドで鍵盤ハーモニカを吹こうと思い立ったとき(今から15年前くらい)、ぼくは楽器屋さんに行って、それぞれを試奏させていただきました(って、教育楽器のコーナーで、1万円もしない製品を試奏して選ぶ、というのはちょっと恥ずかしかったのですが…。さらに同一製品のものも何本か試奏させていただいて、チューナーで測定もし、もっとも音程の良いものを選び出しました)。
その音色の違いは、想像以上でした。
『ピアニカ』のほうが音量が小さく、音色も軽め(明るめ)。
それに対して『メロディオン』は、音量も大きく、音色も重め、です。
絶対的な音量が大きいということは、よりダイナミックレンジがかせげるということを意味します(音の強弱の幅を広げられる)。そこが気に入って、ぼくは『メロディオン』を選びました。
ちなみに、ぼくの小学校では当時(70年代中盤)『メロディオン』が採用されていて、鍵盤ハーモニカ=『メロディオン』だったんです。『ピアニカ』という言葉は、ある程度大人になってから知りました(子どもの頃は、鍵盤ハーモニカ、という呼び方もしていないです。あれは単に『メロディオン』という楽器だと認識していました)。というわけで、そもそも『メロディオン』に親しみもあったのですが…。
ところでちょっと調べてみたのですが(ウィキペディア情報であり、メーカーに取材してウラを取ったものではありません)。
『ピアニカ』って、ヤマハが名付けたのではなく、TOKAI(東海楽器製造)という楽器メーカーの命名だった、とのことです。
TOKAIとは、ギターが主力の楽器メーカーですね(1984年に会社更生法を申請していますが、今も存続しているメーカーです)。
で、OEMでヤマハ(当時、日本楽器製造)からYAMAHAブランドで『ピアニカ』を販売開始(1967年)。
というわけで、もともとの命名、開発は、TOKAIだったとのことです(1961年に開発)。
ちなみに、『メロディオン』のほうも、開発年は1961年らしいです。
教材としての採用に関しては、鈴木楽器製造がかなりがんばったような印象も受けます(ウィキを調べた限りでは…)。
その流れで、ぼくの小学校(静岡県富士宮市)も、『ピアニカ』ではなく『メロディオン』だったのかもしれません。
さらにちなみに、鈴木楽器製造もヤマハもTOKAIも、すべて本社が静岡県・浜松市です。
日本の鍵盤ハーモニカは浜松が発祥である、ということで間違いはなさそうです。
というわけで、もろもろ中途半端ですが、『ピアニカ』と『メロディオン』について綴ってみました。
押忍。