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制作手記9
ええと、バカ正直に言いますと、僕、絵を描いていながら、 画面全体の構成というか、そういうのあんまり興味ありません。
それが絵画表現の要たる要ってことは散々思い知ってきましたが、 なんかピンとこないのです。 無意識にいいようにしてることはありますが、積極的にそこを重視したことがないのです。
具体的にモノを描いていくことしか、ピンとこないのです。
なので、構図といったら大抵、描くモノをド真ん中に描きます。
しかし、大いなる問題が。
背景。
これは、ずーーーっと考えていることなのですが、未だに明確に思いきれません。
描くのか、描かないのか。
よくある、素描での話では、紙に鉛筆なり木炭なりの白黒の濃淡のみで描く場合、背景に手を入れないことはよくあります。 勿論、その場合でも、背景が立体的な空間であることを感じさせるように、メインのモチーフの際(背景との境目)を工夫したりします。
こんな感じに。(モデルは同じ人。正面からの素描。)
その意識を油彩でも。と考えて、実際に試したことは何度もありますが、思うようにいかないんですよねぇ。 先に載せた「美容師さん」も、その意識を持って臨みましたが、成功とはいえないです。
これは、まず、有彩色であることが難しいところで、理想的な際の処理が見い出せないことと、 もうひとつ、油絵具の持つ物質感が原因と思われます。
当然ですが、メインの箇所は描けば描くほど物理的に表面は厚みを増し、反対に手を入れていない背景はキャンバスの素地のまま。 マチエールの関係性がうまくいかないのですよ。
メインの箇所を描かないわけにはいかないし、背景をメインに合わせて塗ったとしても、妙に物質的な抵抗感が出てしまうし。
そんなで、悩んだ挙句、今回は背景も描くことにしました。
本来ならば、こんなこと制作開始時に決定されていなければいけないことなんですが、 僕の場合なので仕方がないです。
この話を絵を描く知人に持ちかけると、大抵、『 大昔に「笛吹の少年」で決着の着いた話 』とされてしまいますが、 「笛吹の少年」て、背景バッチリ描いてますよねぇ。モノがないだけで。位置感あるし。
そうじゃなくて手を入れないでどうするのかって話。