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暑いですね。
北海道も例年に無い酷暑で、沖の仕事も陸の仕事も大変です。
さて、「朝日の昇る頃に」ではいくつかのカテゴリーで文章を書いています。
「漁師1年生!」は、転職1年目の生活についてです。
「漁師の日常(定置網)」では、それ以降の体験や見聞についてです。
その後について先に書いてしまうと、4年間転職先の船で乗り子(雇われ船員)として働いた後、親方を目指すべく土地を移して修行中です。
何故、土地を移してまで親方修行をしているかというと、土地の事情であったり、漁師になってみてわかった漁業の現状があったからです。
漁師転職6年目、土地を移して2年目にして、ようやく組合員への道も開けてきました。
ということで、漁師へ転職するということについて、僕なりにまとめてみたいと思っています。
◆漁師に転職するのは、別に難しいことじゃない。
ここ数年、ネット上で漁業への転職を希望する人をよく見かけるようになりました。
リーマンショック以降は特に増えたような印象を受けています。
どうしたら漁師になれるのですか?的な質問はよく受けますが、漁師に転職するのは実は意外に簡単です。
全国漁業就業者確保育成センター(http://ryoushi.jp/)では、全国各地で行われている漁業就業支援フェア等の案内をしています。
漁村のある地区のハローワークでは、乗組員の募集をしていたりします。
あとは、自分の希望に沿ったスタイルの漁師になれるかどうか、そこが問題なのです。
◆漁師には2種類ある。
一口に漁師と言っても、漁師は大きく分けて2種類あると考えたほうがいいと思います。
一つは、親方。漁業組合の組合員として漁業権を持ち、自営業として漁業を営んでいる人です。
もう一つは、乗り子。要するに雇われ(=サラリーマン)です。
僕が今のところ「転職漁師」を名乗っているのは、後者として漁業に携わっているからなのです。
脱サラして漁師になりたいという人は親方を目指していると考えるのが妥当でしょうが、現実はそうではないようです。
乗り子への転職に対しても、脱サラ漁師という表現を使っている人もいるようです。
漁業=都会の会社とは違う、という誤解もあるのかなと感じています。
◆自分にあった漁師スタイルとは何か?を考えよう。(乗り子の場合)
転職して乗り子になった場合、人間関係や労働条件はかなり過酷になるという覚悟が必要です。
肉体労働ですから、労働条件が過酷になるのは比較的理解しやすいところでしょうか。
農業や漁業はその性質から、労働基準法の適用が一部除外になる場合があります。
決められた週労働時間とか有給とか言っていれば、捕れるものも捕れなくなるからです。
浜の人間関係は温かいはずだ、などという幻想をいだいていると、足元をすくわれる結果になりかねません。
転職して乗り子になった場合、最初は比較的親しげにしてくれることがあります。
それは大方、物珍しかったり、明らかに自分より仕事ができない人間だと思われているからです。
(もちろん、本当に親切に接してくれる乗り子もいます。)
漁業の場合、乗り子の給与は乗船年数にかかわらず一律で場合も多く、仕事ができない人間には冷たく当たられるのはよくあることです。
また、募集がかかる時は親方が乗り子の若返りを目指している場合もあって、そうなれば年配の乗り子にとっては失業の危機。
転職者が猛烈ないじめにあって、1週間もたなかったという話も聞いたことがあります。
また、仕事を覚えてきた頃に、周囲の態度が変わることもあります。これは僕自身も経験したことです。
こう書いてくると恐ろしいことばかりに感じるかもしれませんが、どこの世界も同じ実力社会で、仕事が出来れば認められて受け入れられるのは言うまでもありません。
但し、10代、20代前半の若者であれば体力がつくのも仕事が手につくのも早いですが、年齢が高くなるほど大変だとは思います。
体験的にいって、30歳でほぼデスクワークに近い仕事から転職した僕は、体力面は本当にきつかった。
技術的な面については、仕事の早さ、特に手先仕事の早さは10代から漁業をしている人に追いつくのは難しいものだなぁと感じています。
乗り子の良さは、給与制であること。これに尽きます。
魚介をとるという仕事の魅力は、親方でも乗り子でも変わらないものです。
(つづく)