制作手記4
一度目の描き起こしはあまりいいものではなかった。 というより、いいものであった例がない。 これは僕の意識と技術双方の拙いところで、 描き起こす作業の理想としては色味を生かしながら位置としてのカタチをより具体的にしたいのだが、 頭では解っていても、それができない。 描く作業になるとどうしても明度にしか目が利かなくなる。 このように、色を置く意識と具体的に描く意識が別々に働いてしまうことが問題。
結果、描けば描くほど色彩は鈍くなる。中途半端なグレーになってしまうのだ。 (ちなみに絵画でのグレーというのは、いわゆるネズミ色のことではなく、中間色全般を指します。)
こんな時はモデルのことを想うことにしている。 今、彼は何をしているだろう。 エアブラシで奥さんの絵を描いているのだろうか。(彼も絵描きなのです。) そういや最近は樹木を題材にしているとか。 山に行く機会があれば誘いたいな。是非。 彼の中間色は鈍くない。淡く、深い。何故だろう。
なんだかノッてきた。
溶剤のことを少し。
油絵具を溶く溶剤(溶き油)は主に3種に分類されます。
・揮発性油 常温で揮発。 粘性:低 (テレピン、ペトロールなど)
・乾性油 酸化による自然硬化。 粘性:中 (リンシード、ポピーなど)
・樹脂 硬化補助、画面保護、他。 粘性:中~高 (ダンマル、マスチックなど)
上記の他にも、描画補助仕様のものなどたくさんあり、 使いやすいように調合するわけです。 また、油絵においての積層は、上の層ほど粘性を高めないと絵具が画面に載りません。 そこを溶剤の特性を生かし、工夫する必要があります。
僕の場合は、
・テレピンのみ(描き出し)
・テレピン3:リンシード3:マスチック1(中間層)
・テレピン1:リンシード2:マスチック2(最終層)
と、3つの調合油を使用しており、状況に応じてこれらに何か足したり引いたりしています。
さてさて、さっきよりイイ感じになってきた。オレが。
絵がイイ感じになってくると、自分のコンディションも良くなり、 自分がノッてないと、なんだか絵もしんどそう。
連動です。