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こんにちは。根本齒科室の根本です。
昨今、つくづく思います。日本は修羅の国です。
シンガポールやマレーシアなどとEPAを結んでいるにもかかわらず、
誰も医師が日本で働きたがりません。
前回も書きましたが、日本には、日本語の壁以外に、何か特殊事情があるのかもしれません。
この間は、安倍さんがやけに紅潮して記者会見していました。
涙目の小浜さん、このまま引き下がるわけにはいきませんが・・・
ちょっと、私が危惧しているストーリーがあります。
**********(仮 説)**********
ある日、マ●ーシア(マレーシアとは限りません)人材省の高官が述べました。
「日本の診療報酬(保険点数)は不当に安い。医師の労働環境を意図的に劣悪な状況下におくことで、外国人医師の就労機会を奪っている。これが被保険者の過剰な保護、利権構造にもつながっており、まさに非関税障壁である。経済連携協定の理念に反する」
日本は言い返します。
「 途上国のクセにちょこざいな えっ、小浜さんは皆保険おkっていってたけど」
マ●ーシアは言い返します。
「制度の是非ではない。TPP参加国中で、対一人当たりGDPの診療単価が他国に比べて低すぎることを指摘している。これが外国人医師の雇用の自由化や人的ぱあとなあしっぷの理念の妨げになっている。これらを促進するためにも、皆保険制度の運用改善をして、他国並みの診療単価に近づけるべきだ」
日本はイラッときました。
「えーでも、ザイゲンガー とか クニノシャッキンガー とか フンダララ」
マ●ーシア
「財源が不足なら構造改革や営利化すべきだ」
「それでも不足なら窓口負担を上げるべきだ。そもそも皆保険制度が始まった当初は家族窓口は5割負担だったではないか」
「TPPぁあとなあしっぷの理念に合わせて制度の運用改善をすべきだ。」
これを横で聞いていた小浜さん、しめたとばかりに軽い腰を重そうに上げて言いました。
「日本の皆保険制度は尊重されるべきだ。シンゾー エイブにもそう伝えた。ただ実態が閉鎖的で、運用改善は非常に意義が大きい」
・・・!(言いそう、コイツ)
シメタ!とばかり、多くの国々が、小浜さんの見解に賛意を表明しました。
今やすっかり左傾化したKKK新聞(仮)、小浜さんの提灯記事が紙面に踊ります。
いわく「日本の医療界は改革wが足りない」(’A`)
そしてすっかり流行通信と化したあry、小浜さんの提灯記事が紙面に踊ります。
いわく「日本の医療界は改革wが足りない」 ( `ハ´ )
**********(仮説終)**********
いやー、もちろん絶対そうなるとは言いませんが、交渉事なので、一応こういう系のリスクもあると、頭の片隅に入れておかないと、いざというときに適切な陳情ができないかもしれません。
歯科については、気になるところをちょっと具体的に書いてみます。
◇ リスク~歯科の非保険化
前回、安倍さんがTPPを骨抜きしてきたかもしれない、と言いました。
また、自民公約6条件の遵守、毒素3悪(ラチェット、ネガティブ、ISD)にNo! とも書きました。
しかし逆を考えれば、自民公約6条項もどう骨抜きにされるかわかりません。
皆保険なんて、正直、「運用改善」でどうにでもなってしまいそうな気がします。
おそらくアメリカの狙いは「金融」「保険」がメインで、「自動車」などはフェイントでしょう。
その時に私が恐ろしいと思っているのが、他分野の取引材料としての妥協案での
「歯科の非保険化」
です。
医科を守るために、妥協案として歯科(とか柔整など)をエサにして切り売りする。
説得力ある実例としては、カナダの医療制度がそのような体制になっているからです。
ちなみにカナダは医療費は無料ですが、歯科医療費は全く保険がききません。
カナダが交渉参加しているということは、歯科の非保険化のハードルが非常に低いということも意味します。
また、カナダばかりではありません。
英連邦の一員でもあるシンガポール、マレーシア、ブルネイあたりが妥協案として
「保険制度の英国NHS型化」
を言い出す可能性も否定できません。
NHSは、イギリスの国民健康保険ですが、ちょっとした治療予約でも数ヵ月待ちとかザラで、非常に使い勝手が悪いです。
しかも、たとえば歯科の治療でいうと、日本のような細かな「出来高払い」ではなく、超大ざっぱな「どんぶり勘定」です。
システムを非常に大まかに説明すると
日本(1本につき)
麻酔 ○点
削合 ○点
処理 ○点
充填 ○点
イギリス
3本まで ○ポンド
4-6本 ○ポンド
こんな感じです(イギリスの数字は、例えであり、正確なものではありません)。
こうすると、日本型の「出来高払い」の場合は、やればやるほどもうかります。
いっぽう、イギリス型の「どんぶり勘定」だと、やればやるほど損をします。
その証拠に、日本の場合は
治療していない歯まで治療したことにしたりとか(付け増し請求)
簡単な治療なのに複雑な治療をしたことにしたりとか(不正請求)
自由診療で治療したのに保険でもレセプトを出したり(二重請求)
することが以前から問題になってきました。
そこまで悪の道に染まっていない先生は、ひたすら削ろう、抜こうとしてきました。
それは、出来高払い制度のインセンティブが濃厚治療の方向に強く働くからです。
いっぽう、イギリス型のどんぶり勘定です。
1本でも3本でも同一料金。3本一気に歯の治療をやった日には、大赤字です。
先生は、なんだかんだ言い訳して、何とか1本だけで済まそうとします。
「3本一気に治療しなければならない義務はない」
「丁寧な治療ガー ウンタラカンタラ~」
orz
患者としては、できれば3本いっぺんにやってほしいのに、不便だし時間も金ももかかる。
「えーい、時間がもったいない!近所の自由診療のところで一気にやっちゃえ!」
ということになります。
「えーでも、ザイゲンガー とか クニノシャッキンガー とか フンダララ」
なんて下手なこと言うと、何を言い出されるか分かったものではありません。
「じゃあ「どんぶり勘定」(英国NHS型)にしろよ。予算が浮くぞ」
「もちろん医療特区アリアリな」
などと各国から異論が噴出し、満を持して、横で聞いていた小浜さんが軽い腰を重そうに上げて
「日本の皆保険制度は尊重されるべきだ。ただ各国の運用改善の提案は非常に意義が大きい」
などと知った口を叩く可能性は、否定できません。
もう一点、気になる点があります。
◇ リスク(かは私は分からない)~歯科治療規制の緩和
2009年の菅直人内閣時代に、TTPP交渉に参加していた8か国は
シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド
アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー
です(後日カナダ・メキシコが交渉参加を表明しました)。
ニュージーランド、オーストラリアには「デンチュリスト」「デンタルセラピスト」といった、日本にはない資格があります。(Wikipediaの英語版”Dental Therapist”から日本語リンクをたどると何故か”歯科衛生士”に行きます)
これらの国々では、歯科技工士が一定の就業年限とデンチュリスト認定資格を得ると、義歯など一定の歯の治療が行えます。
また、歯科衛生士も一定のカリキュラムとセラピスト認定資格を得ると、乳歯や小児など一定の歯の治療が行えます。
こんな話を聞くと、驚く人も多いでしょう。
「えっ、衛生士や技工士が歯を削るの?」
はい。それどころか、麻酔はするわ、レントゲンのスイッチは押すわ、乳歯の抜歯もします。
多分、初耳の方も多いかと思います。
一例ですが、このようなページもあります(出てくるかなぁ)。
ttp://webuyhousesinaustralia.com/forum/topic.php?id=15901
↓↓↓
近年では、改革派の小さな動きでは、ソリューションの周りに結集しました。アイデアは “中間レベルのプロバイダ” – 看護実践、基本的には、現場に出て動作することができ、歯と歯茎の世界のための軍団とプライベート歯科医師の国の制度を補完することです。それは、テストされていない概念ではありません。カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスを含む、少なくとも54カ国では、素晴らしい結果と、これらのいわゆるデンタルセラピストと労働力を拡大してきました。
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まぁ、そういうような感じのことです。
同様の資格は、マレーシアにもあることが、アジア歯科事情という本に記されています。
若干古い本ではありますが、資料としてはたいへん興味深い本です。
このような、いわゆる「准歯科医」制度がある国は、おもに
1)予防歯科が進展して、治療の必要性が減少した、北欧など先進国
2)歯科医師の絶対数が不足している発展途上国
の2つに分かれます。
やっている処置内容は、いずれも簡単な治療であり、大体同じです。
私は個人的にですが、昭和30年代、歯科が国民皆保険に入った時に、2)のタイプのデンタルセラピスト制度を導入しておかなかったのは、失敗だったかもしれないと思っています。
当時は「患者の洪水」と呼ばれる時代で、どこも歯医者は大忙しの時代です。
しかし、歯科医師法の制約で、歯科医師以外は一切治療行為を行うことができません。
押し寄せる「患者の洪水」にもがき苦しみながら・・・
「型を取っておいてほしい」
「レントゲンを撮っておいてほしい」
(できれば麻酔しておいてほしい)
(できれば削っておいてほしい)
(できれば神経を取っておいてほしい)
しかし、それは「」も()も、日本ではやってはいけないことになっています。
当時は歯科医師1人当たり患者数1日100人など当たり前のようになった時代です。
おそらく、半分くらいは治療中の記憶が飛んでるだろう、と思うようなキツさだと想像します。
このときに無理せずにデンタルセラピストを導入できていれば、その後の歯科大学乱立、歯科医院乱立の問題もなかったでしょう。
また、当初は 2)型のセラピストとして養成し、予防歯科の発展に伴って、段階的に 1)型の
セラピストに移行していくような、柔軟なかじ取りもできたと思うと、大変残念ではあります。
TPP参加国には、このように、「デンチュリスト」「デンタルセラピスト」を抱えている国が大勢あります。医科を守るため、妥協案として歯科が 草刈り場 取引材料にされた場合におこりそうな話のひとつは、こうです。 ←何だか東田剛さんみたいな言い方だな
**********(仮 説)**********
ある日、マ●ーシア(マレーシアとは限りません)人材省の女性高官が、また述べるかもしれません。
「日本の歯科界では、ハイジニスト(衛生士)やテクニシャン(技工士)などのパラデンタルスタッフが国内法で不当に業務範囲や権限の制約を受けている。パラデンタルスタッフの労働環境を意図的に劣悪な状況下におくことで、外国人スタッフの就労機会を奪っている。これry」
以下、TPPの理念だ、(歯科医師)既得権益の打破だ、運用改善だ、規制緩和だ、特区だ、世界標準だetc が始まって、まるで
小泉 自由’n一郎さん(仮名)や
小泉 新自由さん(仮名)の顔が
浮かんできそうな展開になって、デフレ脱却もどこ吹く風で、痛みを伴えだの米百俵だの人生いろいろだの、「アベノミクス第3の矢の成長戦略は、産業政策でなくて構造改革だ特区だ」などというすぐバレる嘘だのetc と国内のマスコミが一斉に●●を始め・・・
で、満を持して小浜さんが軽い腰を重そうに上げて意義がオッキして
みたいな、一目で予想できる展開になって・・・
**********(仮説終)**********
だいぶ端折って書きました。
ただ、私は、短期的にはともかく、中長期的な視点で見ると、「歯科治療規制の緩和」そのものについては、自然にそちらの方向に行く公算が高いと思っています。
それは、やはり歯科の特性上の話であり、歯科が
の表でグループBであり、グループCである医科一般と逆の性質があるから、という理由です。
歯科の場合は、医科よりも基盤がぜい弱でなので、政治や交渉のオモチャにされるリスクが格段に高い恐れがあります。
そのようなことを考えても、「歯科はグループBだ」「歯科と医科一般は性質が逆だ」という意識を常に忘れず、平素から歯を大切にしていくことがなにより重要なのは、言うまでもありません。
【今回のまとめ】
歯科は医科よりも政治リスクが高い恐れがあり、普段から自助や予防を心がけるべき
おまけ~TPPでおきるかもしれない「良さそうなこと」
一応、公平性を欠くので、こちらにも触れておきます。
◇ (高濃度)フッ素タブレットなどの解禁
◇ (家庭用)ホワイトニングジェルの解禁
あたりは、さっと浮かんできます。
薬事系の規制は、アベノミクスの主要な課題の一つでもあるので、iPSに限らず、各分野でそうとう緩和される公算が高いからです。
これらは、今のところ薬事法の規制で、歯科医院でないと処方できないことになっています。
ただ、国際的にみると、規制そのものの意義に「?」を感じます。
フッ素は、水道水フロリデーションを行わない以上、教育現場でどこまで洗口が浸透するかにもよりますが、そこを各自が注意しないとオーバードーズのリスクもないわけではありません。
まあ、海外では高濃度のタブレットを普通に市販の薬店で入手できます。
また、ホワイトニングジェルは、過酸化尿素や過酸化水素のジェルになると思いますが、これらも海外では簡単に入手できます。
それに現在では、ネット通販の個人輸入を利用すれば、ほとんど何でも手に入ってしまう状況ですし、規制の意義自体が疑義を感じる点もあります。
しかし、ホワイトニングジェルは、知覚過敏など個人差が大きいので、まずは歯科医院で相談したほうが、個人的には安心だとは思います。