« | Home | »

2013/02/18

M-1グランプリの後継番組として、去年から始まった
朝日放送系列の番組、KAMIWAZA

昨年は視聴率的には惨敗だったそうで、
今年は行われないんじゃないかと思っていましたが、
内容のリニューアルをしつつ、今年も見ることができました。

番組としてどうだったかの感想はまず置いておきまして、
各パフォーマーの感想を書きたいと思います。

この「感想」というのは、
将来的に僕がジャグリングやその他のパフォーマーの
演技を見た際の何かしらを書くことがあった場合の
練習的な意味合いでもあります。

(実際、それをするに値する人間になれるのはずっと将来と思いますが、
 そういう立場の人間になれたらいいと思っています。)

それゆえ、
「どんだけ上から目線なんだよww」「じゃあお前がやってみろよww」
という突っ込みもあろうかと思いますが、そこは大目に見ていただきたいと思います。

演技順に書くつもりですが、思いだしながらなので、正確ではないかもしれません。

●中国 河北省雑技団
雑技と言えば中国。中国にはこの手のパフォーマンスを行うパフォーマーがゴマンといます。
どの雑技を見ても凄まじいんですよね。いったいどんな英才教育がなされているのか、
そのパフォーマー育成の現場を見てみたいと思う次第です。
パフォーマンスの途中に、自転車の上から上へと飛び移るパフォーマンスがありましたね。
ああいった、「心臓に悪い」(つまり、危険度の高い)演出が少なめだったのではないかなと感じました。

「ああ、凄いな」とは思うのですが、凄い技を見せていくだけ、という印象を受けました。
それが中国雑技の王道的演出なのかもしれないのですが。
(我ながらものすごい上から目線だ……)

ただ、スタジオの自転車を走らせる空間がやや小さかったようにも思うので、
真の実力はあんなものではないのかもしれません。

●日本 DaiGo
実は恥ずかしながら、DaiGoさんの存在を知ったのはつい最近のことでして
(家にテレビが無いのです……わざわざネットカフェに行って観賞したんですよ!!)
すさまじいメンタリズムっぷりをただただ感心して見るより他ありませんでした。

恐らく、彼のメンタリズムは本物で、ヤラセではないと思っていますし、
客席からあげられた芸能人もいわゆるサクラではないと思うのですが、
テレビでやっていることによって、「ヤラセではないか」「サクラなんじゃないか」
と思われてしまうのが残念でなりません。

かつて催眠術のエンターテイメントショーもテレビで放映されていましたが、
同じようなことを感じましたね。

おそらくは、普段のショーでは、客席にいる人たちを次々と舞台にあげて
パフォーマンスをされているのではないかと思いますし、是非とも彼のメンタリズムを
生で体験してみたいなぁと思います。

賞レースとしてこの番組を見た時、事前にお客さんの誰もが
「どういうことをやるかがわかっている」状態でのパフォーマンスというのは
非常に不利だったと思います。
その上で、ここまで見ているお客さんを魅了できるパフォーマンスができるということが
素晴らしいと思います。

●スペイン アザリオ・シスターズ
紹介文に謳われているように、「女性二人でのハンド・トゥ・ハンド」というのは
本当に珍しいと思います。

女性ならではの「しなやかさ」「美しさ」に「力強さ」という両面性があり、
すごく意外なパフォーマンスだったと思います。
全体を通して見ると、凄くオーソドックスなハンド・トゥ・ハンドではあったと思いますが、
最後の、片手だけで頭の上で倒立をさせている状態で、梯子を登って降りる、という大技の存在が、
「自分たちは他と違うんだ」ということを見せつけていましたよね。

ただ、言ってはなんだけれど、せっかく美しい方々なんだから、
手を頭の上に置いて倒立している時に、下の方の顔のアップをカメラで抜くのはどうかと思うなぁ……

サーカスをやっている女性というのは美しいものなので。

●日本 ケントカイト(ワイルドカード枠)
彼らの紹介前に、JJF2012(ジャグリングの国内最大の大会)のチャンピオンシップの映像がぱっと流れた時の
僕のtwitterのTLの騒然とした様子が凄く面白かったです(笑)

他の紹介されているパフォーマーの傾向からして、
「ワイルドカード」枠は、80%くらいの確率でジャグラーであろうと思っておりまして、
ただ、その枠は日本をけん引する他のジャグラーであろうと考えていました。

選ばれたのはケントカイトだったわけですが、なるほど、そう来たか、という感じです。
他のそうそうたる「日本代表」のパフォーマーたちと比べてしまうと、
未完成だと思うし、彼らの成長はこれからだと思うわけですが、
ワイルドカード枠の定義である「まだ日の目を見ていない将来有望なパフォーマー」であるという点については強く同意できますので、
彼らを選んだKAMIWAZAのチョイスは素晴らしいと思います。

また、このチョイスは日本のジャグリング界に大いなる追い風となることでしょう。

安易に彼らに勝たせる展開ではなかったことも良かった。
(彼らの存在感をお茶の間に届けることができただけでも充分だと思います。)

ちょっと緊張していたのか、動きは硬かったかなと思います。
JJFで見た時の彼らはもっと軌道の乱れていない、安定感のあるパフォーマンスでしたからね。

ジャグリングというのは、画としてはとても派手なのですが、
アクロバットと並んでしまうと、見劣りがするパフォーマンスだと思っています。
彼らがこれより上のパフォーマンスを目指すとするならば、
それを覆す何かしらの要素が必要なのではないでしょうか。

これは、彼ら自身の課題ではなく、ジャグリングをする者全ての課題だと思いますが。

因みに、彼らは大道芸などのイベントをやるときには、
自らおしゃべりをしながらパフォーマンスをします。
twitterで僕が、「彼らは生で見てほしいな」と言ったのは、
そういう、ジャグリングの技術的な要素だけではない部分も素晴らしいんだぞ、ということを
知ってほしかったという部分もあります。

彼らのJJFでの演技は
こちらでも紹介していますので、
興味のある方はご覧ください。

●カナダ ドミニク・ラッカス
昨年、KAMIWAZAを見ていた時に、ジャグラー仲間であるぱわぁさん( @jugglerPOWER )という人が、
「僕が独断と偏見で世界代表を決めるとしたら」と言って
選んだ人の中に入っていたので、事前にこの方を知っていました。
「ヒューマン・フラッグ」のギネス記録保持者とは。

この手のポールを使ったパフォーマンスって、力がいるもので相当大変だと思うのですが、
画的にはそんなに派手なものではないように感じます。
むしろ、長いポールを使って、滑り降りて地面すれすれで止めるとか、
肉体的な技術ではなく、危機感を煽る演出で喝采をもらうタイプが多いように思っていたのですが、
この方はそういった演出を行っていませんでしたよね。

それなのにこの魅了のしかたが凄い。

体の動きの綺麗さがその「引き込める」力の原動力だったのではないでしょうか。
そして、その原点となっているのが、ギネス記録を打ち立てられる筋肉にあるのでしょう。

クローズアップされていた、空中を歩く動きも、本当に空中を歩いているように感じましたしね。
置いた足が空中でびしっと静止できる力のなせる技でしょう。

●日本 レッキングクルーオーケストラ ELスクワッド
この方たちもyoutubeで見たことがあったなぁ(CMの件は知りませんでした。)
事前の僕の予想では、この方々が優勝するのではないかと思っていました。

僕のtwitterのTLでは、「電飾の演出が凄いわけであって、ダンスが凄いわけではないのでは?」
……という意見が妙に目立ったように思いますが、僕はそうは感じませんでした。

まず、この演出を思いつくに至った経緯で既に「他とは違う」と思いますし
(「他とは違う」という言葉すら彼らの演技に対しては陳腐な言葉だと思いますが)
電飾を上手く利用した構成も随所に盛り込まれていて
(例えば、倒れている人間が起き上がったり、空中で回転しているように見えるところなど)
電飾でダンスをすることの意義を強く感じます。

その電飾での演出を行うためには勿論個々のダンスの技術というものが必須と思います。

大人数のこういった+αのある演出というのは本当に見ごたえがありますよね。

あとは、ステージの奥行きの使い方が上手いなぁというところを感じました。
ステージというのは、観客席から見ると、一枚のスクリーンのように、縦と横に広がる世界なのですが、
彼らのように、奥行きを感じさせるパフォーマンスができると、凄く表現の幅が広がりますよね。

演技順がここでなければ、優勝していたんじゃないかなぁと思います。

●ベラルーシ ズック
空中ブランコの類のパフォーマンスをもっと近くで見られるタイプの演技ですよね。
もっと間近で見たかった。

一つの棒に二人が捕まってぐるぐる回ったり、
他の人の間を縫って棒から棒へ渡るところなど、危機感をあおる演出が多かったですね。

しかし、僕のtwitterでの感想は「正面で見たかったね」の一言だけでした。

このパフォーマンスは、上から見たアングルを映すべきでは無かったと思います。
上からパフォーマンスを見ると、互い違いにジャンプをしていることがまるわかりになってしまい、
正面(横)から見た場合よりも、「危なく見える」箇所が少なかったのではないかと思います。

●日本 が~まるちょば
まさに日本代表。満を持して登場といった感じの大御所が~まるちょば。
盤石のパフォーマンスで、もはや、僕が感想を書くこと自体がおこがましく思えてしまいます。

なんでしょう……「完璧」という言葉しか出てきません。
パントマイムとか、クラウニングとか、そういうジャンルの完成形に極めて近い位置にいる方々なんだろうな、と
常日頃から思っています。
(「完成」はしないのでしょう。常にパフォーマンスというのは進化していくものですから。)

ただ、テレビの力では、彼らの本当のパフォーマンスの3割も見せられないと思っています。
(※その3割でも圧倒的なんですけれどね。)
生で見せたい、いや、生で僕も見たい。何回でも見たい。

が~まるちょばのパフォーマンスの感想というわけではないのですが、
以前、別の番組で彼らがパフォーマンスをした時、
エスカレーターに乗った時の音とか、手が伸びる演出とかをしている時に、テレビ的な演出で余計な効果音が乗っていて、
「おいおい……台無しになってるよ……」と思ったのですが、そういうのが一切なくてよかったです。

●スイス マディール
いやー……奇しくも去年のKAMIWAZA終了後の感想を書いた時、
「海外のパフォーマンスの番組はこんな感じだ!!」と記事を書いて
紹介したパフォーマーがまさかのオオトリとはw

僕の先見の目のなんとあることよ!!!

と思いましたが、実は、この動画もぱわぁさん( @jugglerPOWER ) に教えてもらったもの。
(ぱわぁさんもまた別の誰かに教えてもらったらしいですけれどね。)

僕はもうパフォーマンスの内容を知っていましたし、
どちらかというと、「オチ」の時のTLがどうなるかをわくわくしながら眺めていました。

やはり、途中間延びしているのが気になる人が多かったように思いますね。
テレビだとこれでチャンネルを変えられたりしてしまうのかもしれませんが、
実際どうだったのか気になるところです。

ただ、やはり最後の「オチ」はそれまでの静かな空気を覆しますよね。
むしろ、ここまで極限に溜めたからこその最後の圧倒的な「オチ」があるのです。

僕が去年紹介した動画とは音楽も違いましたし、
最初に使うものが木の棒だったのに、今日見た時は羽になっていました。
最後の「オチ」の演出には羽の方がいいでしょうね。
彼の演技もさらに進化しているのです。
(個人的な好みでは音楽は前の方が良かったような……笑)

「オチ」の直前に、一瞬バランスを崩してひやりとしたシーンがありましたが、
その時に見ていたお客さんが胸を撫で下ろす姿がカメラに抜かれていました。

生で見ていると本当にパフォーマーの息遣いまで聞こえてきたことでしょう。
そんな様子を端的に表しているシーンだったと思います。

パフォーマンスの内容を知っていたのに最後の「オチ」には鳥肌が立ちました。
twitterのTLを見ても、最後に「うおおおーー!!!!」「鳥肌!!!」「やべぇええええ!!!」
という言葉が並びました。

「圧巻」という言葉がぴたりではないでしょうか。
KAMIWAZAという番組の全てを持って行ったような感じさえ受けます。

初見の衝撃が強すぎたのですが、きっと今回彼のパフォーマンスを初めて見た人は同じ衝撃を受けているのではないでしょうか。
願いがかなうのならば、全ての彼のパフォーマンスに関する記憶をすべて消し去ってもう一度パフォーマンスを見たいと思います。

****************************************************
パフォーマー個々の感想はここまで。
夜も遅くなってしまいましたので、番組としての感想は、明日にでも書こうと思いますが、
ただ、一言だけ先に言うとするならば、
昨年よりもはるかに良い番組になっており、
早くも来年のKAMIWAZAが楽しみになっているということです。

かつてのM-1グランプリも、最終的な形に落ち着くまで、番組の内容を改良されてきたものと思います。
来年はさらに素晴らしい番組になっているのではないでしょうか。

2013/02/18 02:59 | ryuhan | No Comments