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2010/11/12

みなさま、こんにちは。yuuです。

去る先週のこと。JunkStageの舞台公演について、密会がありました。
そのことについて、書いてみたいと思います。

JunkStageはいつも、「ただのWebマガジン」の域を超えたいと思っています。
単なるブログのポータルサイトなら、世の中にいくらでもあります。
でもわたしたちは、書き手を選びすぎるほど選び、
Webだけでない、分野に特化してあらゆるジャンルの最前線を伝えていくミドルメディアの可能性を追い続けています。(参考書籍:『ソーシャル新時代』『インフォコモンズ』)

ひと昔…といっても数年前なら、PV、つまり「数」を負わない、と宣言するWebメディアなど
笑止千万、でしたし、数を集めて「ウチのメディアは○百万人が訪れています!」という以外に
Webサイトが商売…いえ、その「価値」を客観的に認めてもらえる指標はありませんでした。

しかし、テクノロジーの進化とともに、PV至上主義は存在感を薄くしていき、
どこのメディアに「引用」されても勝負が出来るネタ性=コンテンツの力に光が当たり
その過程で、JunkStageも、アドネットワークNo1のグループに仲間入り。
ビジネスを成立させることがJunkStageの目標では決してありませんが、
1on1のパーソナルメディアでも、1to∞のマスメディアでもなく
ミドルメディアの可能性を追求してきたJunkStageにとっては、嬉しい風潮です。

ただのWebマガジン、いや、ブログの集合体ではなく、コンテンツの力を可視化したい。
ライターが一堂に会する舞台公演を行い、Webサイトの域をこえてお披露目もしてきました。

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Season3 at Sakura Gallery 2010 

その舞台公演の、去年までの演出家、イトウシンタロウさんと、来年もし舞台をやるのであればその演出家をやっていただきたいと思っていたスギタクミさんと私の3人で、深夜の渋谷で落ち合いました。
 
わたしから、JunkStageの舞台の試みについて説明しました。
1年目は、ライブハウスを借りて、対バン形式でそれぞれの種目を表現する文化祭。
試験運用だったにも関わらず、前売りの170%のお客様がいらしてくださいました。
2年目は、会場を大きくして、空間デザインから演出まですべてJunkStageでやってみました。
裏方としては限界も感じていたのですが、お客様からは「興味のなかった分野も見れて、新たな関心がわいた」という、一番言って頂きたかった暖かい感想をいただけました。(もちろん、「”舞台”としてはお粗末すぎる」という声が少数ながらあったのも事実です)
3年目は、形式をがらっと変えて、展示中心のアートギャラリー方式に。
こじんまりとはしていましたが、ゆったりとできる空間に飛び入りのお客様もいらして頂けました。
みんながその道のプロフェッショナルではない、いわば凸凹のメディアに、リアルで何が出来るのか応援してくださり、期待してくださっている方の声を感じることができ、非常に励みになりました。
 
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Season3 at Sakura Gallery 2010 (photo by K.Fukuda)

しかし、お客さんが入ればそれは成功なのか、というと、やっぱりJunkStageにとっては、違います。
それは、「●万PVがとれて毎月●万人の読者さんがサイトに来ればJunkStageは成功だ!」という方向性とはまるで違う方向をむいているので、当然です。
 
去年までの作演出をつとめていたイトウシンタロウ氏が言っていたことばに、
Junkの難しさと可能性が圧縮されていると思いますので、引用します。
「第1回の舞台公演が予想外に大成功に終わってしまって、第2回を“JunkStage”って何なのか、と考え始めたとき、前例がないこともあって、自分として答えを出し切れず守りに入ってしまった部分があった。」
 
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Season2 at Moda Politica 2009

JunkStageとは、なんなのか。
この問いに、明確にわかりやすい言葉や例を用いて答えられないことが、
わたしたちの弱みでもあり、そして“前例がない”という、絶対に強みでもあると思っています。
ビジネスには、今すぐには、いえ永久にも、なりえないのかもしれないでしょう。
しかし、ある一定の層に響くコンテンツを様々なジャンルで丁寧に作り、それを集合体としてひとつのポータルとしてのカタチにすること。
――それは、ビジネスモデルとしては前例がないだけで、
バブルとは関係なく100年続く本質的なことだと思っています。
というか、それが100年続くWebの本質的なコンテンツ力にならなければ、どうしようもない。
 
だから、わたしたちはそれでいいのだ、と、批判をおそれず勇気を持って言うこともまた、だいじな覚悟であるのだ、と。
JunkStageにいるライターたちは、みんな向かっている方向が違います。
それは「やりにくい」ことに間違いはないだろうけれど、それがJunkStageなんだと。
そういったことをスギさんに伝えながら、赤裸々に話しすぎていることはわかっていましたが、隠していい面ばかりを言ってだますようなことをしたって仕方ないとも思っていました。
 
対するスギさんは、百戦錬磨のプロの演出家。
JunkStageにはスギさんに提供してあげられる環境はその道に精通した彼女からみればとてつもなくやぶれかぶれです。
ただ、JunkStageは舞台に関しては素人集団かもしれませんが、「なにか」においては超一流のメンバーを集めています。
その「なにか」がみんな別の方向を向いていることも、「なにか」において超一流のためにみんな別々の常識のなかで生きていて相容れないことが多いことも。
でもそれこそがJunkStageというものであり、それを「ひとつのプラットフォーム」にしていくことができなければ、JunkStageは“やっぱりダメ”なのです。
だから、どんなカタチになるとしても、ただの“お芝居”なら、やる意味が無い。
演出家にも作家にも、ホームスタジアムではできないようなことをやっていただく
実験的な場にしていただきたい、と、伝えました。
(どこまで伝わったかは、ワタシの日本語能力もあり未知数ですが)
 
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Season1 at Star Pine’s Cafe 2008

真夜中も迫り、ラストオーダーを取りにまわる店員さんが去った頃。
スギさんは冷静に、イトウさんがきっちり用意してきたこれまでの資料を分類して、言いました。

「わかりました。…やってみましょう。」

JunkStage、シーズン4。
それがどんなカタチになったとしても、わたしはあのときのスギさんの眼光をわすれないでしょう。
 
正直まだだれにも、何が起きるのか、何ができるのか、わからない舞台。
それでも、軸は、整った。
ちょっとでもウキウキした方。
たぶんこのプロジェクトチームは、あなたを求めています。
何ができるかなんてなんでもあって、舞台美術もチケットもぎりも卑尊なんてない。
ただしコンテンツ(ライター)がハチャメチャなだけに、スタッフは協調性を重視します(笑。

なんとなくなにかしらで関わっていたい、と思った方はほんとにお気軽に、メールをください。
info@junkstage.com

2010/11/12 07:49 | sp | No Comments