モンスターズ・インク
【MONSTERS, INC.】
2001年、日本に帰国することを決めた年
最近姪っ子甥っ子がひとつの場所にじっと座れる歳になり、
去年何度か一緒に映画を見に行った。
ドリームワークスアニメーションの『マダガスカル3』に
ユニバーサルスタジオの『ロラックスおじさんの秘密の種』。
もちろん普段からディズニーとかピクサーとか、アニメーション映画は見にいく。
大きな違いは子供タチとは“日本語吹き替えで見る”こと。
以前コラム『日本語吹き替え版で見るコト』でも書いたが
子供時代に見る外国映画は知らず知らずのうちに吹き替えで見ることになる。
そしていつの間にか大人になって、映画を字幕で見るようになっていて
子供向け、というより、子供も楽しめる映画であればあるほど、翻訳が大変だ!
ということに今更気が付く。
なぜなら、わー、とかきゃーとか
とにかく意味不明な言葉が次々とキャラクター達から発せられる。
そういう意味では、日頃固いおとな会話ばかりの英語に接していると、すごく楽しい。
大人になって見たハリウッド映画のアニメーションの中で
一番好きなものは!と言われれば、即答でモンスターズ・インク。
この映画も冒頭からわけのわからない会話がぽんぽんと進行する。
子供達を驚かせ、
恐怖であげる叫び声が生活エネルギーになっているモンスターたちの世界。
稼ぎ頭のサリバン【Sullivan】とその友達マイク【Mike】が今日も仲良く会社に出勤。
最近車を買ったばかりのマイキー(マイク)が車で出勤するというのを
いやいや、省エネで、と歩いてい行こうとサリバン。
車を買ったのは走る為さ、とジェスチャー交えマイクが不満げに言う。
With the honk-honk and the vroom-vroom
道をブッブー ブルルンと
vroom-vroomはそのままブルルンなのに、
honk-honkとクラクションを鳴らす音は字幕にはない、
と思ったが、ああ、フォンフォンじゃなくて日本語はブッブーね!と。
合間に通りがかるモンスターがくしゃみと一緒に火を吹いて、
目の前に広げた読みかけの新聞が燃えてしまう。
Ah, nuts.
やれやれ
“nuts”、これはとにかくナッツのように細々としたものがばらまかれて
どうにもこうにも面倒、みたいな時に良く使う。
確かに“やれやれ”だ。
歩き続けるサリバンとマイキー、途中で八百屋の兄さんと陽気に挨拶。
Tony, Ba-da-bing!
Pow, pow, pow, pow, pow!
マイキーが打ち真似をしながら発するこのセリフ、
訳されてないし。
Ba-da-bingは辞書を引いてもなかなか出てこないが、
じゃじゃーんとか、そんな意味らしい。
ドラマ“ソプラノス”のお店の名前しか思いつかなかった。
Pow, pow, pow, pow, powはジェスチャーから想像するに、
パン、パン、という軽い銃声の音。
そしてこの会話シーンは、八百屋のあんちゃんの投げる野菜と
これまた通りがかりの液体モンスターのセリフで締めくくられる。
Hey! On the house!
おごりだ
とあんちゃん。
そこを液体状のモンスターがうっかり排水溝の網の目の上を横切る。
当然液体だから網の間からざばざばっと体が排水溝へと落ちていく。
ただし網目より大きかった目玉と入れ歯は上に残り、
その残ったパーツがため息混じりにつぶやく。
Oh, great
参ったな
この短いシーンだけでも意訳がもりだくさん!
これは吹き替えで見た方が落ち着いて楽しめるかも、と改めて思ったが、
音が楽しいのでやっぱり頑張って英語で見ようかと。