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カスケード、シャワー、ファウンテン……
これらは、ジャグリングの技の名前です。
3つのボールのうち、1つのボールと2つのボールを交互に投げ上げる「ワンアップ・ツーアップ」や、凹の形にボールを動かす「ボックス」、トランプを切る動作に似ている「シャッフル」など、普通なら見た目にぱっとわかりやすい名前をつけられますが、
それ以外に、「技を開発」した人が、その技の名前をつける、というケースがあります。
まあ、いわゆる「技の開発者の権利」というやつでしょうか。
その後、他の人にも真似られて広まっていくと、その名前で定着することになります。
スティーブ・ミルズさんの開発した技、
「ミルズメス(Mills’ Mess)※1」という技が一番有名。この「ミルズメス」という技は、あまりにもジャグラーの間で有名になってしまったのですが、開発者のスティーブ・ミルズさんはまだ現役バリバリのジャグラーだという事実を知るとびっくりする人がたくさんいます。(そんなに古い技、というわけではないということです。)僕が2005年か2007年にアメリカに行った時のコンテストのバックステージの担当もされていました。
このミルズメスもそうなのですが、
その人が開発した技というのは、人名+何かしらの単語の2語で作られ、さらに、技名のイニシアルがゾロ目にすることがジャグラーの間では通例になっています。
このつけかたをされている技というのは本当に多くあって、「バークスバラージ(Burke’s Barrage)」「ルーベンシュタインズリベンジ(Rubenstein’s Revenge)」「ダンカンドーナツ(Duncan Donut)」「エリックスエクステンション(Eric’s Extension)」「スミタズスクリーム(Sumita’s Scream)」などがあります。
実はシガーボックスの技の中に、「竜半ズレインボー(Ryuhan’s Rainbow)」「竜半ズレボリューション(Ryuhan’s Revolution)」なる2つの”Ryuhan”を冠する技もあったりします。
僕の場合、”Ryuhan’s……”という名前のついていない、僕が開発した(と僕が思いこんでいる※2)技というのがこれ以外にもあったりするのですが、最近はもはやできる可能性の幅が広すぎて、開発した技一つ一つに名前をつけるのすら億劫になってきてしまい、名前をつけるのは、「これは」という技ができた時だけになってきました。
おそらく、この手の「名もなき技」の方がジャグリングの世界には多く存在していることでしょう。
ジャグリングショップナランハで発売されているボール教則ビデオで、デモンストレーターである中嶋さんがやったデモンストレーション用の技を、僕のサークルのメンバーがナランハに電話して「あの技の名前はなんだ?」と聞いたという逸話があります(笑)「その技には名前はない」と答えられたらしいですが、その後、うちのサークルではその技のことを
「ナカシマズナッシング(Nakashima’s Nothing、つまり、中嶋さんの名もなき技)」と呼んでおります。
※1
このブログを読んでいる中高生の皆さんに覚えておいて欲しい英語のワンポイント。
’←アポストロフィというのは、例えば”Ryuhan’s”と書けば「竜半の」という意味になりますが、「Millsさんの」というように、人名の最後がsで終わった場合は、sの後にアポストロフィをつけ、”Mills’”……となります。
※2
僕が誰に教わったわけでもない、既存の技の合成や既存の技の発展として「作った」技の数々であるのは間違いありませんが、僕がやったのが「世界初」かというとそうではない技もあるのではないかと思います。
ところで、
日本人は、技の名前を略す傾向があります。
例えば、ミルズメスなら「ミルズ」、バークスバラージなら「バークス」といった具合です。
それはそれでいいのですが、
竜半ズレインボーは「レインボー」と略されます。
まあ……もともと「レインボー」と僕自身が呼んでいたということもあるのですが、こう……開発者の名前を残して広めておいてほしいですね(笑)
この前、「えっ、レインボーって竜半さんの開発した技だったんですか?」って言われて、地味にショックでした(笑)