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あけましておめでとうございます。
ご無沙汰しておりましたがお元気でしょうか。
短歌詠みの瀬波です。
ジャンクステージ6周年おめでとうございます。
各々がそれぞれの「現場」で活躍し奮闘、チャレンジされてらっしゃる
ライターのみなさまにとって、
また当コラムサイトがそのような情熱の集まる場として
ますますご清栄の1年となりますように。
自分の所属する短歌結社『未来』で
結社の名前がそのまま賞の名前になっている
「未来賞」という年に1度の連作コンテストにおいて
この度2012年未来賞をいただき
その受賞作品と選考経過、受賞の言葉と顔写真(!)等々が
『未来』2013年1月号に掲載されました。
同じく未来の本多真弓さん、田丸まひるさんとの同時受賞で
未来力作賞は谷とも子さんと河原ゆうさんが受賞されました。
1年前に佳作をもらった時
( 2011年12月31日更新記事 短歌連作「僕たちは復讐をしている」(2011年未来賞 佳作) )
にも発表させていただいた
こちらジャンクステージにて
今回の受賞についてもお知らせさせていただきたいと思い、
運営の方にお願いして戻ってまいりました。
未来賞受賞作とそれにまつわるいくつかの記事、
そして2月に『未来』誌掲載となる受賞後第一作連作などを
こちらで短歌コラムとして掲載させていただきますので
数回の連載復活となる予定ですがどうぞよろしくお願いします。
よい年になりますように!
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Who saves the lifesavers ? 瀬波麻人
延着はいつものことで知っている人の飛び込む快速電車
暗喩的意味に満ちてる食卓でナイフを私は手にとっている
悲鳴しか出なくなってるディスペンサ「愛は無限に注がれるもの」
いつか別のフェーズで否定されようとスポンジケーキを抱くように抱く
夜毎夜ごと君を抱きしめ悪い夢吸いとるための接吻をする
ゼロ距離のなかでの射撃セックスの時しか使わぬ筋肉がある
五㎝の水におぼれる二㎝の段差が越せないまた朝らしい
きらきらと海を目指していたけれど死んだ魚の光だったね
二人霧の行軍だった一人減り一人が倒れて動かなかった
通夜でした突然でした事故でした七のつく日に同僚が死ぬ
酒で死んだ心理士がよく言っていたお前はドラえもんにはなるな
この家も人が死んでるドアノブを回せば初夏の感情鈍麻
あなたからのメールに従いそうめんをゆでる真夜中 食べなきゃだめだ
四桁の数字の意味も消えてゆくひびの入った揃いのカップ
実存と向き合う朝の洗面所鏡の中のお前は誰だ
一人でも元気になると決めたから失踪準備のような断捨離
自分以外の何になろうとしてただろう二人というのは閉じる単位だ
私たち一人と一人ともかくも今年も蝉の羽化を見ている
まるまってソファで眠る八月の手足をあうんと伸ばす準備の
らいおんの仔がはだかんぼうでラタトゥイユを食べるひなたの風のにおいは
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≪受賞の言葉≫
日頃はソーシャルワーカーとして貧困や虐待、
障害や嗜癖問題など
様々な困難に直面している人たちの支援にあたっています。
喪失や失意の現場はまた回復の現場でもあり、
もっとも昏く孤独な場所から発した言葉が
時にもっとも遠くに届き得ることを信じています。
この度は未来賞をいただきありがとうございます。
ご指導いただいた加藤治郎先生はじめ短歌を通じて
関わりをもってくださった皆さんに感謝しております。