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以前、シガーボックスのメンテナンスをした、という記事を書きました。
そのとき、桃生さんより、「道具を大切に扱っていますね」というコメントをいただきましたが、
むしろ、僕は自分が本当に道具を大切に扱っているのかどうか疑問です。
たとえば、僕と同じくJunk Stageに記事を書いていらっしゃる、曲独楽師の三増さんは、
使っている独楽をとても大切にしていることが文書から読み取れます。
やすりなどを使って自分の独楽をメンテナンスされていたり、
曲独楽作りの職人さんや素材が少なくなってしまってきていることを憂いておられるそうです。
僕はアマチュアで人より舞台に立つ回数も少ないので比較にならないかもしれませんが、
おそらくもっとも練習頻度の高いシガーボックスは、もって3~4年。
今のタイプのものにして今使っているシガーボックスが3代目ですが、
その3代目も先日記事に書きましたとおり、「ひび割れ」を起こしました。
ただ、三増さんと違い、壊れてしまったら新しいものを買ってしまえば済むだけの話ですので、
シガーボックスを堂々と練習中に高く投げ上げてキャッチしそびれ、
派手に大きな音を立てて床に叩きつけられるシーンなどは珍しいものではありません。
もちろん、「ひび割れ」くらいならホワイトテープを巻きなおしますし、
それ以外の道具でも、クラブの先端が取れればビニールテープを巻きなおしたり、アロンアルファで接着したり
その程度のことはしますが、
それは単純に「この程度で買いなおすのは惜しい」という思いからだけであって、
もしも僕が使っているシガーボックスの面が1枚はがれてしまったり、使っているクラブがぽっきり折れてしまったら、
修復しようと考える前に「買い直そう」と思うでしょう。
それは、接着剤やパテを駆使すれば修復できるかもしれないが、
そのくらいまで使い込んでボロボロになっていると、それ以外にも気に食わないこと
(たとえば、シガーボックスだったら、木片が箱の中に入ってしまって使うたびにカラカラと音を立てるとか、
修復をすることでだんだん見栄えが悪くなってきてしまっているとか、)
があったりとか、
あるいは、修復することで、道具の繊細なバランスが崩れてしまうことを危惧してのことです。
新品を買うときは、全体のバランスを考え、
僕の場合は、一つだけ買い足したりはせず、全部を入れ替えることのほうが多いです。
「ひび割れ」の記事でも書きましたが、おろしたての新品は若干使い心地が悪く、
しばらく「移行期間」が必要になるので、
「移行期間」の最中は、練習は新品で、人前でやるときは古いものでやったりして、
徐々に移行をしているのですが、ある時
(シガーボックスの1つが完全に寿命を迎えて壊れたり、道具の入れ替えを忘れて新品を持ってきてしまったり)に完全に入れ替わります。
その結果、寿命寸前でなんとか原形をとどめている道具が家に溜まっていくことになります。
まあ……僕の場合は、そういう道具は初心者に貸し出すなどして有効利用はできていると思いますが……
おそらくは、上級者であればあるほどこの傾向は強いのではないかと思います。
上級者の場合、もう一つ道具を変えるタイミングがあります。
それは、「新製品が出た時」。
ありがたいことにシガーボックスはジャグリングをはじめてこの方、1回しか新製品出ていないので気にしないのですが、
ディアボロを筆頭に、クラブ、ボール、デビルスティックなどは、新製品が出たときに
「おおっ、面白そうなのが出たな!!使い心地を試してみよう!!」
となり、とりあえず新製品を買ってみる、という人もいるのではないでしょうか。
買ってしまうのは極端ですが、その新製品を購入した友人のものを貸してもらってちょっと練習することはありうるでしょう。
使ってみて、相性が悪ければそのまま使わなければいいし、相性がよければ、古い道具からあっという間に乗り換えてしまいます。
ジャグラー全体がそうであるとは思わないのでほしいのですが
(海外のジャグラーで、それはそれは自分のシガーボックスを大切にされていて、
もう、ぼろっぼろのシガーボックスにたくさんシールを貼り付けてなんとか原型をとどめていたような人もいましたし。)
全体的にそこまで道具を大切にしているようには思えないかな……
と、ここまで書いてみて、
そういえば、学生時代は使っていたクラブに補修用のビニールテープを何層にも何層にも重ね貼りをして、
ボロボロになるまで使い込んでいたことを思い出しました。
当時は、今ほど安いクラブ(といっても1本3000円程度はする)はなくて、
クラブ1本5000円近くかかっていた頃で、(しかも、5つとか持っていたから、当然それだけお金かかるわけで)
学生だからそんなにお金ないし、大切に使っていたのかなぁ。
そういえば、先日、学生時代からずっと使っていたディアボロ×2を引退させました。実に10年以上使ったことになります。
「サーカスディアボロ」という名前のディアボロで、僕が始めた当初は誰もがこのディアボロを使っていましたが、
もはやこのディアボロを使っている人は周囲にはほぼ皆無の代物です。
僕の場合、ディアボロはメイン道具ではないですし、単純に練習量が少なかったからこの年数持ったのでしょう。
僕の手持ちの道具で言うと、あとはデビルスティックがディアボロと1年違いで学生時代に購入したものがありますが、それ以外は一通り買い換えました。
練習するとどうしてもボロボロになってしまう道具たちですが、それでもちゃんと大切に扱ってやりたいと思っております。