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2013/01/07

いーち、にーい、さーん、よん。
お正月を寝正月で過ごしてしまったあたしは、ここのところたるんだ身体に活を入れるべく、朝夕30セットずつの腹筋を自分に課している。まあ、30セットなんて大した運動量にもならないんだろうな、と思うけど、気休めと割り切って取り組んでいる訳だ。
いーち、にーい、さーん、よん。
それでもリズムに乗って動いている間は余計なことを考えなくてすむしドーパミン?のせいか妙にハイになっちゃったりして、あたしはこの新しい習慣をとりあえず今のところ順調に続けている。っても、まだ一週間にもならないけど。飽きっぽい性格だからどこまで続くかは分からないけど、やれる間はやり続けるつもり。今のところ、飲み会の予定もないことだし。
いーち、にーい、さーん、よん。
歯切れのいいリズム。余計なもののないシンプルさ。

三年続けた半同棲をやめて、一人に戻ったお正月、あたしは実家に帰らなかった。
両親では当然あたしたちが結婚するものだとばかり思っていたらしいから、合わせる顔がなかったし、おまけに帰る旅費を銀行から下ろすのを意図的に忘れた。まあ手持ちで行けないことはなかったけど、現在独身絶賛転職活動中の身としては重い腰を上げてまでラッシュにもまれる気はなかったのだ、はじめから。

飽き性のあたしにしては長く続いた男と別れるのは、それなりにもめた。例えばテレビを投げたり雑誌を引きちぎったりガラスを破ったり壁に穴を開けてみたり。どこのカップルでも多かれ少なかれ通るであろう修羅場だけれど、あたしにはそういうことがひどく応えた。そんなにまでしてやり直したいのか、って考えてしまった。彼はいつものとおり最後には降参してくれそうな気配をかもしていたし、優しく腕を広げてくれそうな気もしたんだけど、それを汲みとることも腕に身を投げ出すこともやめて、あたしはお揃いで買ったカップや皿を片っ端から割ったのだった。泣きながら。どこかで冷静に、ああこれを片付けるのって超面倒だよねって思いながら、それでも割らずにいられずに。

正月明け。今日は初出勤で、会社では顔を合わせずに済んだ。でも明日は? 明後日は? 今までのように幸運は続かない。違うフロアだって行き来する用事はあるし、第一、あたしたちはそれで恋に落ちたんだもの。
だから今月は根性を入れて、溜まってた有休をとりまくって、新しい職場を探すのだ。
もう、もしも、って不確かなものに怯えないでも済むように。

いーち、にい、さん、よん。
さっきより少し速度を上げて、あたしは芋虫のように身体を折り曲げる。息が切れる。運動すれば心の中の葛藤だとか不安だとか自己嫌悪だとかを全部すっとばして、ただ泥のような疲れが訪れる。
いーち、にい、さん、よん。
今のあたしには、これが一番必要なのだ。勢いを付けて、どこまでも行けるように。
いーち、にい、さん、よん。
はっきりとした明晰で明るいリズムは、どこまでもあたしに優しい。

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*今回の画像は「Photolibrary」さまからお借りしました。

 

2013/01/07 07:42 | momou | No Comments