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こんばんは、酒井孝祥です。
結婚披露宴の司会を承るにあたって、新郎新婦がプロの司会者に期待されることの一つに、突発的なアクシデントが起きたときに、いかに上手く対処してくれるかということがあります。
そういうときの対処方法のパターンを、僕は4つに分類しております。
(1)機転的なコメントで切り返す。
(2)何事もないかの様に、動じずにそのまま進行する。
(3)現状について説明する。
(4)事が収拾するまで、敢えて何もコメントせず、落ち着いてから、何事もなかったかの様に進行する。
上記のうち、(1)に関しては、恐らく一番期待されているであろう、司会者のアドリブ能力に関わるもので、また別の機会で詳しく述べたいと思います。
そして、(2)~(4)に関しては、比較的大きなトラブルが起こったときの対処方法で、その規模と、宴席の進行状況を考慮して、どの対処が適切なのかを瞬時に判断しなければなりません。
例えば、会場の隅の方で、グラスやお皿などが割れて、ガチャンと大きな音がしたとします。
そのときは、(2)を選びます。
変にコメントを入れても、割れたという事実を強調してしまいます。
何事もなかったように進行しているうちに、スタッフが綺麗に片付けてくれるでしょう。
逆に、それで進行を止めてしまったら、割れたという不吉なことを強調してしまいます。
しかし、割れたことで、かなりの破片が飛び散り、ゲストが怪我をしてしまう恐れがあるような状態であれば、その危険性を警告しなければなりません。
(2)を選んでしまったら、そのことで怪我をする人が現れるかもしれません。
そうであるならば、(3)を選び、スタッフが破片の片付け作業をする間、いったんその付近を離れていただくようアナウンスする必要があります。
そして、もしもそれで怪我をしてしまった人が現れて、周辺が少し騒がしくなったとします。
そうなってしまったら(4)を選びます。
やはりコメントをしてもどうにもならないことですし、その騒がしい中で無理矢理余計なことを言っても混乱します。
怪我人がスタッフに連れられていき、自然に騒ぎがおさまるのを待ちます。
落ち着いたことを確認してから、そのことをわざわざ思い返させることもなく、何事もなかったかのように振舞います。
別パターンで例えます。
ガーデンテラスのある会場で、屋外で進行していたときに、雨が降ってきたとします。
それが非常に小雨で、明らかにそのままでもいけそうであれば、(2)を選びますが、少し雨が強くなってきて、外にいるのか中に入るべきか判断に迷うようなときには、会場責任者の指示を仰いだ上で、(3)を選んでゲストを誘導するコメントを入れます。
しかし、突然の土砂降りで、ゲスト皆が大慌てで室内に避難しているような状況では、(4)を選びます。
ここで「お天道様もお二人に嫉妬していらっしゃるのでしょうか?皆様、お風邪などひかれませんようにお気を付け下さい」などと、無理矢理なコメントを入れても間抜けなだけです。
事が落ち着くまでは、敢えて何も言わず、じっと待つことも時と場合によっては必要です。
いずれにしても、突発的なアクシデントが起きたときに、最も司会者に求められることは、冷静であることです。
起こったことは起こったことで、それを挽回するために最も適切な方法を冷静に探ることが必要です。
司会者が慌ててしまったらおしまいです。
次回は、「ドレミが輸入される前の歌」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。