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こんばんは、酒井孝祥です。
落語を聴きに行ったことがなかったとしても、テレビのバラエティ番組などで、噺家(落語家)を見たことがない人はほとんどいないと思います。
そして、落語そのものも、古典芸能の中では、比較的テレビで放映される機会の多いジャンルかと思います。
テレビで気軽に楽しむことも出来、CDなども沢山販売され、レンタルショップでも落語のDVDは結構並んでいます。
しかし、もしも一度も生で落語を体感したことがないのであれば、是非とも一度、寄席などに足を運んでいただきたいものです。
やはり落語の魅力はライブ感にこそあると思います。
皆様は、面白い舞台を観ているとき、どんな気持ちになるでしょうか?
人によって感じ方は様々かもしれませんが、僕は、心の底から面白いと思える舞台を観ているとき、客席と舞台が一体化した様に感じます。
パフォーマーが演じたものを客席が受け止め、そのエネルギーが再びパフォーマーに還っていくうちに、見た目には何も変わらなくとも、だんだんその空間が変化してくる。
そして、いつの間にか、舞台と客席との間の境目がなくなり、パフォーマーと観客とが一体になって、共に何かを作り出そうとしている。
そんな風に思うのは僕だけでしょうか?
その感覚が、最も顕著に現れやすいのが落語だと思っています。
かく言う僕ですが、正直、それほど頻繁に落語を聴きに行くことはありません。
僕が昔いた劇団の先輩で、噺家になっている人がおり、彼女がゲスト出演するということもあって、先日、もともと演劇の戯曲として書かれたお芝居を落語として上演する企画公演を観に行き、久し振りに落語を体感しました。
それが、今年観に行った舞台公演の中でナンバーワンの面白さでした。
その前の週、1週間で6本の舞台を観に行きました。
ときにはそれだけの頻度で観に行くわけですから、年間で僕が観る舞台の本数は結構なものだと思います。
でも、その公演は、僕が今年観た全ての公演の中で群を抜いて面白かったのです。
公演終了後、とにかく僕は幸せな気持ちでいっぱいになっていました。
そして冷静になってから、この舞台が面白かった理由を考えてみると、もともと戯曲として十分に面白い話に、落語の手法によるライブ感が加わったことにあるのではないかと思います。
高座に落語家が登場すると、まず客席に対して世間話のような話を始めます。
その話の内容も、実際の客席の様子を見ながら、その空気によって変わってくるようです。
そこから、話の内容が、その作品に関連したテーマとなり、そのテーマにお客が興味を持ち始めたところで、スッと作品の本編に入ります。
この本編に入る前のフリートークの様な部分をマクラなどと呼ぶそうですが、この最初の話によって客席は噺し手に引き寄せられ、そのまま本編の作品の世界に引きずり込まれていきます。
ベテランの噺家さんによる落語を聴いていると、客席にいる皆が同じ様に引きずり込まれていくので、気がつくと、皆が同じ呼吸をしています。
本当に上手な噺家さんには、客席の呼吸を操る力があるのかもしれません。
“操る”と言うと人聞きが悪いですが、言い換えれば、お客さんが安心して全てを委ねてしまう様な、包容的なエネルギーを放っているのだと思います。
噺家さんは高座の上から動きません。
そこから動かないのに、否、動かないからこそ、演じられる役はどこへでも移動することが出来るのです。
そしてその空間を共用するお客さんも、どこまででも行くことが出来るのです。
次回より、古典芸能や俳優に関する話題の他に、酒井のもう一つの顔である、ブライダルMC、婚礼司会者に関するテーマのコラムも並行して連載していきます。
今後は、(古典芸能)(俳優道)(ブライダル)の3つのカテゴリーで執筆していきたいと思います。
次回は、「目指すは友人司会!?」(ブライダル)をテーマにしたコラムをお届けいたします。