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2012/10/15

ゴロンタロ大学に地質学科が誕生して早4年。

つまり最上級生である4回生の生徒が第一期生です。

しかし現在、ゴロンタロ大学には私を含め2人の地質学講師しかいません。

2人で全学年の全科目を教えるのは、正直無理があります。

専門的な問題もですが、授業時間が被ったりなどの事務的な問題もあります。

地理学科の講師が教えることが出来る授業科目については、お願いしている状態です。

 

さて、今年に入りこの状況を変えるべく1つのMOU : Memorandum of Understanding が結ばれました。

協定内容はバンドン工科大学・地学科講師による学術的協力・援助についてです。

インドネシアの地学科はバンドン工科大学がトップです。

というのも、バンドン工科大学はインドネシアでも最も優れた大学の1つだからです。

 

昨日の夕方、バンドンから2人の先生がゴロンタロにお見えになりました。

早速この協定を実行していただき、本当にありがたいです。

授業に必要なものがゴロンタロ大学には十分に揃っておらず、教科書を持参していただいたり、数少ない道具を駆使して教えていただいたりなど、大変協力的です。

おまけに英語も話せるので、コミュニケーションも取り易く(これは私の問題、ごめんなさい)、ずっとゴロンタロにいてくれないかな、と願っているところです。

まぁ、もちろん無理なのですが(笑)

 

さて、なぜゴロンタロ大学に地質学講師が2人しかいないのか。

もちろん、新しい学科だからという理由はあります。

常に講師を募集していますが、そもそもゴロンタロ大学に地質学科があることが地質業界の中でもあまり知られていないのです。

地質学科を卒業生した多くの生徒が講師や研究職の道を選ばない、ということも理由の1つです。

なぜかと言うと、学生が地質学科に入学する目的は“鉱山や石油会社に入社するため”なのです。

この手の会社に就職出来たら、高給取り間違いなし!なのです。

もちろん、少しでもいい大学(大学名)を卒業するに越したことはないので、学力・経済的余裕がある生徒はゴロンタロ大学を選びません。

講師の学力の問題もあります。

現在、ゴロンタロ大学に在籍している講師は私たち2人を含め6人いる“らしい”のです。

“らしい”という言葉を用いたのには、理由があります。

ズバリ、私はその方達にお会いしたことがないのです。

現在、その講師の方々は他の大学に修士課程を取得に行っています。

講師が博士・修士取得のために籍だけ置いているこの状況は、インドネシア(大学・学部・学科問わない)では決して珍しくありません。

ゴロンタロ大学の場合の問題は、その講師の方が時期を考えず4人の取得時期が被ってしまっているのです。

そしてたいていの場合、通常の期間内(博士だと3年間・修士だと2年間)で卒業することが出来ず、延長延長またまた延長で長引いてしまっているのです。

私の他に1人講師がいるとお伝えしましたが、この先生は去年修士課程を修了して戻ってこられました。

もし、この先生が戻ってこられなかったら…

これを考えるのは、暑い中であっても汗が引いてしまうほど恐ろしいので…止めます(笑)

給料面の問題もあります。

これは地質学科だけでなく、ゴロンタロ州全体の問題です。

給料がひと月に1回もらえないのです。

お金がないそうで、お金が出来たときに『これ4月と5月分』と言った具合に支払われます。

そしてゴロンタロ州全体の給料は、どの種を比較しても他の州のそれより低いという現実があります。

なので、労働力が他の州に流れます。

お給料・お金についての現実は次回詳細をお伝えします。

 

以上のような理由で、なかなかゴロンタロ大学に地質学講師が集まりません。

今の4回生に進学したい学生もいるようですが、金銭的事情で卒業後すぐの入学を断念せざる負えない状況です。

奨学金を探すなど、他の道を考えるも生徒自身の学力が足りず(笑)

卒業後はまず働いて貯金すると言っています。

 

問題はいろいろあり複雑ではありますが、少しでもいい学科に成長できるように私はいるのだと思います。

この機会にバンドン工科大学の先生と交流を持ち・深め、自身に不足している授業の内容に対するアドバイスをいただこうと考えています。

2012/10/15 05:50 | sayaka | No Comments