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2012/10/06

例年よりも10日以上も遅く、大雪山の紅葉がピークに達した。 今年の紅葉の景色はきっと

忘れることはないだろうと思う。

そう思うのは先日のあの出来事があったからだ。

日頃からよく登っていたあの穏やかで美しい山が、まさか人の命を奪ってしまうなんて

想像もしていなかった。

その日の朝、下山してきた登山者からの情報があってからすぐに駆けつけたが、間に合わ

なかった。

山頂直下で眠るように倒れていた遭難者を見つけ、風雨の中を躓きながらも必死になって

運び下ろした。

下で待機するスタッフや警察からひっきりなしに入ってくる無線。

周囲で吹き荒れる強い風の音。

上空を何度も旋回するヘリのプロペラ音。

不思議とその時の「映像」よりも「音」の方が耳に残っている。

 

慌ただしかったここ数日、ふっと窓の外を見ると紅葉がとてもきれいに色付いていること

に気が付いた。

季節は人間の心情に関係なく足早に巡ってゆく。

あの日のことを思うと、今の平和で穏やかな日々がとても不思議に思えた。

何よりも大切な私達の「生命」は、時として意外なほどあっけなく幕を閉じてしまうこと

がある。

今はそのことを恐れるよりも認めていくことによって、より深い時間を過ごせるような気が

している。

2012/10/06 09:49 | yamada | No Comments