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2012/08/31

 

朝日にとまる小枝の蝉、

鳴きもせず動きもせず、

昼間の夏は今は遠い過ぎ去った思い出のよう、

涼しげな秋風が西日射す森の中の葉を揺らしています、

小枝の蝉を摘んでみると、

蝉はすでに秋風と入れ替わるように、

この森から消え去っていました、

 

8月の最後の夏休み、

久々に家族全員で山の生活、

町の温泉に入り食事をしているとどこからともなく夏花火の音、

音のする方に車を進めると、

山陰に花火の光、

薄らと山のシルエットを赤や青色に変えています、

山間の小学校の校庭、

大勢の人が集まり今年の夏を惜しむかのように、

大きな花火の音が近所の山々にぶつかりコダマとなって響きます、

子供たちは着慣れない浴衣を着せられて、

いつ持ちは違う心持ちで、

男の子と女の子たちが見つめ合っています、

東京の隅田川の花火大会とは比べものにならない程に、

皆ゆっくりと空を見上げては拍手をしております、

ひとしきり夏の終わりの花火を楽しんだ跡、

家族で森の中に戻って来ると、

子供たちが昼間集めておいたガラスの器に浮く花、

そして小さなキャンドルに火をつけて、

水面の花の間にそっと浮かべます、

夏花火を思い出しているのでしょうか、

それとも、

キャンドルの炎の中に、

過ぎ去ろうとしている夏を、

探そうとしているのでしょうか。

2012/08/31 03:44 | watanabe | No Comments