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2012/08/31

 こんな私ですが、ジャズを教え始めて7年目、
定期的に教えた(ている)生徒さんだけで延べ人数に
して50人を越えるようになりました。十人十色、
ならぬ五十人五十色、ですから、ひとりひとりに
合ったレッスンを、と考えながら教え方もその方に
合うように、、、と変えてやっていたりします。
 大雑把に言えば、理屈で覚えたい人、感覚で
弾きたい人、譜面が必要な人、いらない人、ゆっくり
じっくり1曲をやる人、次々といろんな曲をやる人、
アンサンブルが好きな人、一人が好きな人・・・・
 
 ほとんどの生徒さんに共通して訊かれること、それは
 「どうやったらもっとジャズらしいアドリブができますか?」
というもの。
 「あなたの感覚で弾いたアドリブが一番個性的で素晴らしい
と思いますよ」
 そう答えてもなかなか納得はしてもらえません。レッスンを
始めて、自分の出す音に「根拠」や「正解」が欲しいという人が
たくさんいらっしゃるのに、とっても驚いています。
 もちろんある程度コード理論や音階理論で説明しながら
コツをお教えすることはできます。今まで感覚でやっていた人
にちょっと理論を教えると一気に世界が広がって羽ばたいていく
人もいます。
 でも最後はやっぱり
「Don’t Think!Feel!」
と私は言いたいんです。。。。

 今までのジャズジャイアンツたち、いろんな人がいたと
思いますが、理論で固めた演奏をする人はどれくらいいた
のでしょうか。ジャズの特徴である「テンションノート」
(いわゆる異音でいながら和声を邪魔しない音)今は理論として
きちんと説明されていますが、最初にこの音を出し始めた
人たちは「和音とぶつかるけど、この音キモチィ~~~!」
とか、「この音がオレの音だ~!」と思って演奏していた
のではないでしょうか。「この音使うと間違いですか?」と
良く訊かれます。そんな時「和声学という観点から見ると
間違いと言われるかもしれないけれど、あなたが出したい
音なら間違いではないです」と答えます。
ただでさえ12音しかない音、理論でしばって使っちゃ
いけない、と思いながら表現するとさらに自分で自分の
クビを締めてしまう気がします。
 理論というものは○○のこんな演奏がしたい、と思った人たちが
研究して理論を後付けしている、そんな風に思えてきて
しまいます。
 小説家に文法を常に意識しながら文章を書いている人が
いるでしょうか?時にはそこから外れたものが私たちの
心に響くこともありますよね。
 理路整然としたスピーチより、感情のこもったお話の
ほうが心に響くこともありますよね。
 それと同じように、ジャズのアドリブもありたいと
思います。和声も理論も、そういうものもあるな、ということ
は片隅に置いたり、勉強したり、でもいざ演奏するときは
すべて忘れるんです。忘れて、今出したい音はなんだろう?
と自分の心の中で問いながら演奏する・・・
 ジャズミュージシャンて毎日がスリリングで真剣勝負な職業だな、
と思います。

2012/08/31 02:45 | toyama | No Comments