« | Home | »

2012/08/10

 

ほのかに椿油の香り、

白いレースの日傘、

青磁色の和服,

ねこやなぎ色の帯、

品の良い結び帯、

神楽坂上の交差点に向う下り坂、

私の前を歩くうなじの奇麗な女性、

久々に和服に似合う奇麗な歩きかた、

思わず駅に向う方向を忘れ、

ほのかに香る椿油に惑わされ、

夢見心地、

まるで和服の彼女と待ち合わせでもしている気分で、

神楽坂下の下り坂、

遠くから鐘と太鼓の音が、

夕涼みの風に乗り、

彼女は交差点を左に、

私は祭りの提灯に案内されるように、

神楽坂梅花亭を通り過ぎ、

毘沙門天様を祭る善国寺、

鐘と太鼓の音に誘われて坂を上がると、

先程から夏祭りが始まったのでしょうか、

神楽坂通りは色鮮やかな和服を着こなし、

多くの連の神楽坂阿波踊り、

男踊りに、女踊り、

鳴りものの太鼓の音が腹に響く夏祭り、

浴衣を着た若いカップル、

鳴りものにリズムを合わせるほろ酔いの老人、

女踊りの色っぽさに酔ってしまったように、

カメラのシャッターを押しまくる、

ヨーロッパ系の若者、

男踊りと女踊りの掛け合いは、

どこにでもある男女の駆け引、

見るものの心まで踊らせます、

鳥茶屋の軒先のほおずきがよけいに、

浴衣をこの町になじませています、

先頬までデスクでPCを睨んでいたはずなのに、

若い女性のおけさ笠からのぞくうなじが、

駅に向かう私の足取りを引き止めます。

2012/08/10 01:57 | watanabe | No Comments