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WJDin大阪で「シガーボックス競技会」が行われたのは、
昨年のJJF(日本最大のジャグリングの祭典)のチャンピオンシップの決勝戦に、シガーボックス使いが一人もいなかったことに
危機感を覚えたのだからとのことです。
確かに、決勝10人という狭い枠ではあるのですが、シガーボックスが1組もいないのは寂しいと僕も思います。
今回のシガーボックス競技会を見て思ったのは、「みんなステージ慣れしていないなぁ……」ということでした。
僕自身も本番に弱いですし、そもそもこの話を簡単に書けるものではないのですが、「舞台でシガーボックスをやることについて」を、思いつくままに書きたいと思います。
ジャグリングの華であるトスジャグリング(投げるジャグリング)や、ダイナミックな表現が可能なディアボロ(中国独楽)に比べると、
シガーボックスの演技というのは、正直「地味」です。
サーカスでも、クラウン(道化師)がシガーボックスをやっているところは時々見かけるのですが、
シガーボックスをメインで行うジャグラーというのはなかなか出てこないのでは。
何故、シガーボックスは大舞台向きではないのかというと、
・高さが出る技が少ない
・基本的には「技」をやっていない時には、道具が止まっている (※トスジャグリングなどは、技をやっていない時でもボールを投げ続けている)
・左右に動きながらの技をやるのが難しい
……といったところでしょうか。
やはり、ステージでやるからには、左右上下を大きく使って演技をしたいものです。
ここは、シガーボックス使いが意識してルーチンを組まなければいけないところでしょうね。
また、ジャグラーが舞台に立つと、
照明のまぶしさなどもあったりして、けっこう苦戦させられることが多いのです。
しかし、シガーボックスは下向きで道具を扱うことが多いため、照明は一番影響を受けにくい道具だと言えます。
(逆に、正面から照明が当たるタイプだと相当苦戦します。)
とは言え、普段とは環境が違うので、そこはリハーサル等で慣れないとならないところですね。
そして、シガーボックスですが、実は、けっこう「転がる」のです。
手元で技を行っているだけとはいえ、かなり腕を素早く動かしますから、
掴み損なった時などは足元に落ちず、思いっきり吹っ飛んでいきます。
ディアボロ程は転がりませんが、クラブ(ボウリングのピンのような道具)程度には吹っ飛んでいくでしょう。
すると、厄介なことに、
ステージの下に落ちてしまうことがあるのですよ。
こうなってしまうと悲劇です。
大会などではスタッフが投げ入れてくれたりもしますが、
投げ入れたやつをそのまま続ける的な器用なことはまずできないでしょう。(他の道具もそうですが……)
僕の場合、これを防ぐため、
最初、10個のシガーボックスを使ってバランス技をして、その後3個にするのですが、
その10個のうちの7つを、自分から見て左前に積み重ねて置きます。
実は、この積み重ねたシガーボックスが「これより前で演技をしないこと!」という目印になっているのです。
箱を置くパートは、割とおとなし目の技ばかり中心なので、冷静に場所を決めることができます。
どうしても癖でお客さんの方へ、お客さんの方へと行ってしまっていて、
しょっちゅうステージから箱を落としていたのですが、
これをやり始めてから、一回もステージ下に箱を落とさなくなりました。
……まあ、いずれにせよ、
「ステージで演技をする経験」というのは、
アマチュアジャグラーではほとんどないものですから、今回のWJDin大阪のような機会はとても貴重なんです。
今回の出場者の方は、きっとこの経験を経てより完成度の高いルーチンを目指していくんでしょうね。