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私は講師業の他に、自宅の一室をサロンとして開放しています。
いわゆる「ホームサロン」です。
開業してもうかれこれ5年ほどにはなるでしょうか。
途中お休みした時期もありますが、ありがたいことにリピートされる方に支えられてここまできました。
今回は、そんな自宅サロンについてのお話をします。
先日、このコラムを読んでくださっているお客様からこんな質問をされました。
「どこか大きなサロンでも働けるだろうに、なぜ自宅サロンを?」
それをきっかけに、自宅サロンを開こうと思った当時を振り返りました。
当時はまだ本格的には講師業に携わっていなかった頃です。
級は取得しているものの、いわゆる普通のネイリストです。
すごく上手でもなければすごく下手なわけでもない、といった感じです。
もともと結婚してからも仕事をバリバリと続ける前提ではなかったので
ネイリストとしての自覚にも乏しかったのかもしれません。
専業主婦への憧れのようなものもあり、家事に専念するのが私の仕事と思っていました。
とはいえ主婦業だけでは時間を持て余し、お小遣い稼ぎ程度のアルバイトが出来ればと
考えついたのが自宅サロン。
通勤を要しないということが一番の魅力でした。
もともと会社員時代から時間拘束されることが嫌でたまりませんでした。
仕事が終わればそれで終わり、というスタンスが自分には向いていると感じていたので
ネイルサービスが終われば仕事は終わり、という形は理想だったのです。
自宅にいるので家事の妨げも最小限で済むと考えました。
好きなネイルの仕事をして、数千円でもお金になるというのも大きな魅力です。
生活費を求めての仕事ではないので気楽に趣味の延長という気持ちでした。
どこかの主婦向けの広告そのままみたいな発想です。
今こうして文字にあらためると、なんとも恥ずかしいです。
こういった仕事への甘いスタンス、今の私がもっとも嫌いなものかもしれません。
もちろん「私にとっての価値観では」という範疇です。
主婦の方のアルバイト云々に対して批評する気はありません。
当時は当時なりに真剣でした。
「お金をいただくからには」と開放する部屋をサロンと呼べる雰囲気に改装したり
メニューに見合うお勉強会に出席したり、ホームページを作り、
チラシを作り近所にポスティングしたり、とそれなりに準備をしました。
その甲斐があってかどうか、決して目立たない田舎の住宅街にも関わらず
お客様がいらしてもらえるようになりました。
いざ初めて見ると、想像しなかったことが起こるものです。
特に自宅ということからプライバシー管理には気を使いました。
ホームページやチラシに載せられるのは、メールアドレスのみ。
住所や電話番号はメールでのやり取りをして予約成立後と決めました。
それでも、悪意を感じる男性からのいたずらな問い合わせもありました。
また、住所を公表しないことで場所の見当がつけ難いというお声も多数ありました。
他のネイルサロンに行かれていて目の肥えたお客様からの、
明らかに不満の表情を目にすることもありました。
遅ればせながらでお恥ずかしいことですが、
こうしてようやく自分の考えの甘さに気づいたものです。
自分の都合を優先にしてお金をいただく仕事をするなど
世の中には通用しないと実感したのです。
私とって「空いた時間でのお小遣い稼ぎ」感覚でも、
わざわざいらしてお金を出すお客様からしてみれば
それは「プロの仕事」を求めて当然です。
恥ずかしく、意気消沈した私は、サロンワーク自体がだんだんに面倒にもなり
「お休み」として退散することを選びました。
ああ、こうして振り返っていると申し訳ない気持ちになります。
特に、拙い当時の私の技術でも喜んでくださった方には本当に申し訳なく思います。
お休みしてからも、そんなモヤモヤとした気持ちは晴れることがなく、
好きだったはずのネイルに対しての思いが一層深くなるばかりでした。
その思いは徐々に形を変えていき、誰もが認めるほどの仕事をしたいと
思い直すようになりました。
講師アシスタントをしていたこともあり、まるっきりネイルから離れてしまったわけではなかったこともそう決意するに至った背景なのかもしれません。
それからは再度勉強をし直し、講師業のお話もいただき仕事の幅も広がりました。
技術と知識に自信がついたのをきっかけに、自宅サロンを再開させました。
今度も自宅サロンを選んだ理由は、以前とは少し異なります。
講師業でスケジュールを拘束されてしまう分、
それでもお日にちのご都合が良ければいらしてください、というスタンスです。
その分、お値段はかなり控えめに設定してありますし、
店舗サロンのように、他のお客様や時間都合にによる慌しさは皆無です。
技術に関してもご安心いただけるよう努めております。
といった具合にアナウンスしています。
お客様のほとんどが、ご自分だけの空間で落ち着いて施術を受けられるとおしゃっていただいてます。
何より、定期的にお会いする知人友人のようなおしゃべりを楽しまれる方が多いことに
私も感激しています。
着飾る必要もなく、リラックスしてビューティーメンテナンスを受けることが出来るともお声をいただきます。
私としても、やはり通勤のない仕事環境があることは有難いことです。
ただし変化したのは、主婦業優先ではなくなったということです。
お仕事の合間に家事を出来たらする、という感覚です。
それでも通勤がないぶんきっと楽をさせてもらっています。
自宅サロンは、魅力もいっぱいです。
その魅力を魅力として維持できるかどうかは、自分の覚悟にかかっているということも事実であると思います。