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地質を専門としているのに、全く地質について書いた事がありませんでした。
本日は私の専門のお話をしたいと思います。
コラムの紹介には地質学者とあります。
特に私の専門は火山です。
さらに絞ると、火山灰の専門なのです。
難しい用語は抜きで、お話しさせていただきます。
“火山灰”という言葉はそんなに聞き慣れていない単語ではないと思います。
火山が噴火してモクモクとしている、あれです。
現在、日本で活発に活動中の火山は鹿児島にある桜島ですね。
そもそも火山灰はマグマなんです。
皆さんのマグマのイメージは赤くてドロドロしたやつ、ではないでしょうか?
そのとおりです。 火山の下にはマグマがあって、噴火すると空気に触れたりして、急激に冷やされます。
火山灰を見たことがある方は少ないと思いますが、以外にもキラキラしてるのです。
素敵になおかつ大雑把に言うと“火山灰=マグマの結晶”なんです!
ここでよく聞かれる質問です。
“火山灰”と“火砕流”とは何が違うのですか?
いい質問です!
火砕流とは、火山灰や火山ガスが高速で山の斜面を流れ下る“現象”のことなんです。
さて、火山灰の話に戻ります。
火山灰は噴火した後に、風に乗って運ばれます。
軽いので遠くまで運ばれます。
例えば私の研究対象だった鹿児島にある姶良カルデラを給源として約3万年前に噴出された火山灰があります。
このカルデラから噴出された火山灰は、風に乗って北は北海道・南は台湾まで運ばれています。
日本全体が同じ火山から噴出された火山灰で覆われていたのです。
現在、このような大規模な噴火が起こったら…と考えると大変恐ろしいです。
火山噴火による火山災害については、また別の機会にお話ししたいと思います。
さて、どうしてそんなに古い時代の火山灰が別々の地域で発見されたか、についてです。
もっと言うと、どうして同じ火山灰だと分かったのか、です。
火山灰には、個性があります。
個性というのは、化学組成です。
火山が違うと組成が違います。
火山が一緒であっても、噴火の時期が違うとまた組成も違います。
火山灰を分析することで、未知の火山灰であってもこれはこの火山から来た火山灰だ!と分かるんです。
X線をピピピっと火山灰にあてるだけで分析終了です。
(もちろんそんなに簡単ではないですし、ピピピ以上に時間はかかります(笑))
日本各地に堆積している300万年前~現在までの火山灰はすでに様々な分析値が出ています。
ですので、この分析結果の値と既存の分析値を比較して結果を出します。
時代が古いと詳細はむずかしいですが、ここ100年程度の火山灰だと、○○火山から○○年前の何月何日に噴出された火山灰だ、と分かります。
このようにして分析することで、同じ火山灰だ!と分かることが出来たのです。
久しぶりの火山灰の話に、興奮してきました。
次回は、火山灰を分析することで分かることや上記した火山災害についてお話ししたいと思います。