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前回、トランペットでの音階・音程を生み出すメカニズムについて説明させていただきました。
自分の知識・認識のウラを取るために、いろいろと調べながら書いていたのですが、そしてまた今回もいろいろと調べてみるにつけ、自分が厳しい楽器を選択してしまっていることを思い知らされています…。
今、読ませていただいたとあるサイトに、「子供のころから始めると、体の成長とともにトランペットを吹くための体が出来上がっていく」というようなくだりがありました。逆に、大人になってから始めるとかなり苦労する、的なニュアンスです。
トランペットでは、唇を振動させて発せられた音が管内で共鳴し音となる、と、何度か書かせていただいてきましたが、唇を振動させるのは息であり、その息をコントロールするのは体であり、つまりは体自体をトランペットを吹くための仕様にしていかなくてはならない、と言っているのだと思います。
ところでぼくは、小学校の4年生からトランペットを始めました。しかし、中・高ではトランペットを吹いていないんですよね。
大学でジャズ研に入部しトランペットを再開したのですが、中・高でやっていた人にはまったく刃が立ちませんでした。
それが悔しくて、そういう人と同じように吹けるようになりたいと思って、社会人になっても練習を続け、数年経ってもなかなかその域に近づけず、そしてさらに数年経ってもそれは変わらず、止めてしまったらこれまでの苦労がゼロになるわけで止められず、そうしてなんやかんやで現在45歳…。
中・高でやっていた人との大きな違いは、単純に練習量だと思っていました。部活ですから、その練習量はハンパないですよ。
ぼくも大学の4年間は練習時間も潤沢に確保していましたが、社会人となると毎日練習することも一苦労、それでもなんとかほぼ毎日練習してきましたけれど、1日30分くらいしか練習できない日も多く…。
部活で練習する6年間という時間があったか否かの差は、とてつもなく大きかったんだな、と思ってきたんですね。
単に時間ということではなかったのか…、成長期に体を作れたかどうかなのか…、そういう側面もあったのか…、と、少々打ちひしがれています。
ただ、2年近く前に会社員を辞めてフリーランスとなり、練習時間を以前より多めに確保できていて、ここに来て成果が現れてきている実感もあります。上手くなることを諦めていませんし、死ぬまで上手くなり続ける、という人生の大目標もブレることはないのですが。
しかし、またやっかいなことに、「トランペットは、練習量と上達がまったく比例しない楽器」とも書かれていました。
これはどういうことかと言いますと…。
まず、前歯と唇のコンディションが人によって異なるので、演奏者によって理想の吹き方が異なるという前提のもと、意識や奏法が間違っているとまったく上達しない、さらには「休み休み練習する」ということがとても重要で、むやみに練習しても逆効果なことも多々…、これらが「練習量と上達が比例しない」要因と言えそうです。
指導者(上手い人)は、そもそもの生まれ持っての前歯と唇のコンディションが良く問題を抱えていない場合が多く、問題を抱えている人の対処法が分からず適正な指導が難しい、ということもあるようです。あると思います(ちなみに、大小にかかわらず、ほとんどの人がなんらか問題を抱えているというようなことも書かれていました)。
かくいうぼくも、下の前歯が1本変な生え方をして出っ張っていて、学生の頃、歯医者さんに頼んでエナメル質の部分をぎりぎりまで削ってもらったことがあります…。焼け石に水だったような気もしていますが…。
あと、休むことはとても重要で、そのことを特に最近は心に留めていますが、しかし、時間に制約があると吹けるときに目一杯練習したいですから、十分に休憩を取りながら…、という練習の仕方はしにくいんですよね…。
苦い思い出としては、大学3年の定期演奏会のひと月前の間…。
ほんと猛烈に練習して、何時間も吹き続けて、すればするほど音が出なくなり、だからこそもっと練習して…。
定期演奏会当日は、1曲目の1コーラス目を拭くのさえも音が絶え絶えで…。
話しを戻しますね(どこまで戻すかと言うと、ぼくが中・高ではトランペットを吹いていなかった、というところまでです)。
ぼくも、高校で吹奏楽部に入ろうかとは考えていたのですが、ひょんなことからその気持ちが冷めてしまいまして…。
ちなみにぼくの通っていた中学には吹奏楽部はなくて、中学でトランペットを吹くという選択肢は、そもそもありませんでした。
で、高校に進学して、吹奏楽部への入部を検討しているころ…。
校舎の中で、あまり美男でない男子生徒と、あまり美人でない女生徒が、必要以上にべたべたとしていたのを見てしまったんですね。楽器を持っていて、吹奏楽部と判断できました…。
そういう感じがとっても印象悪く…。
ぼく、自称硬派だったので、男子が女子といちゃいちゃしているを見るのが好きでなくて…。
それで、吹奏楽部に興味がなくなってしまったんです…。
吹奏楽部に対して偏見を抱いてしまったわけです。まったくもって偏見です。吹奏楽部出身の方がお読みになっていたら憤慨されると思います…。お詫びいたします…。
せめて高校からトランペットを再開していれば、今、もうちょっと上手かったかもな…、と思わないでもないです…。
しかしこれも縁ですし、運命だとは思っております。
とにかく、これからもよく考えながら良い練習を積んで、少しずつでも上達していきたいと思っております。
そんなこんなで、ぼくは今日もラッパを吹いて暮らしています。