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2012/05/25

今回の話は、舞台に立つものにとっては少し言い訳がましい話かもしれません。

舞台に立つジャグラーに上手い下手があるように、
舞台を見るお客様にも上手い下手があります。

いや、「下手」というのは失礼な言い方でした。
「上手い人」と「そうでない人」といった方がいいでしょう。
たいていの人は「そうでない人」に分類されると思います。

ところで、テレビ番組のバラエティ番組、特にコントなどがある番組のとき、
わざとらしい笑いが入ることがありますよね。

「世界丸見えテレビ特捜部」や「アメトーーク」のような、番組を見学するお客さんがいるテレビ番組ならともかく、
バラエティ番組は、出演するタレントさんとスタッフしか現場にいないことが一般的だと思います。

そのため、「わざとらしい笑い」が入らないと、
テレビ番組を見ている視聴者が、「ここが笑いどころだよ」ということがわからなくなってしまいます。
一部の人にとってこのわざとらしい笑いは不快だと思うのですが、
この手法は、自然に視聴者に笑ってもらえる、良い方法だと僕は思っています。

舞台に立つ者にとってありがたいのは、こういう「わざとらしい笑い」を自然にやってもらえるお客さんなのです。

もっというと、演者の「笑いどころ」「拍手どころ」の空気を読んで、率先して笑ってくれたり拍手をしてくれたりする人。

こういうお客さんが一人でも観客席にいると、
周囲の人もその人に釣られて笑ってくれたり拍手をしてくれたりします。
「鑑賞が上手い人」というのは、このように、他のお客様を巻き込んでくれるお客様のことです。

無論、そんなお客様がいなくてもお客さんを笑わせることが出来る、拍手をさせることが出来る、というのが
パフォーマーの腕ではあるのですが、こういうお客様がいると、パフォーマンスが断然やりやすくなります。

やはり、JJF(ジャパン・ジャグリング・フェスティバル)や大道芸ワールドカップin静岡のような、
大きなイベントでは、「鑑賞が上手い人」が多く集まる傾向があり
(結局そういう上手い人ってイベント好きなんですよね)
こういうイベントで普段よりパフォーマンスのモチベーションが高くなるのは、
そういうお客様の存在があるからなのかなと思います。

「上手いお客様」になるのは、日本人の皆さんは少し恥ずかしいかもしれません。
しかし、その「上手いお客様」を浮かせないようにするために、追従して拍手をしたりすることは出来ると思います。
是非とも舞台鑑賞が楽しいものであるために、一体感を持って大道芸を鑑賞してみてください。

2012/05/25 12:00 | ryuhan | No Comments