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オランダにはあって、日本にはないもの・・・
そんなもののひとつに、
「ケチであること」があげられます。
「ケチ」というと、とってもネガティブに聞こえますよね。
オランダのみなさん、すみません。
でも事実ですから。
きっと他のヨーロッパ諸国の方々も、
「うん、オランダ人はケチだ」とうなずくでしょう。
いちおう名誉挽回させていただくと、
正確にいうとすれば、
「値段交渉好きである」「値踏みが好きである」
「投資価値の吟味が好きである」。
そんな表現になるかな。
オランダでは「ケチ」はひとつの文化であり、美徳であるともいえます。
数字の交渉をすることを、みなさん楽しんでいるかのようでもあります。
金額の交渉。条件の交渉。
交渉にありとあらゆる議論を持ち出し、
自分の「見方」を相手に伝えようとする努力。
それは、お互いのコミットメントを明確にするためのコミュニケーションであると、オランダ人は考えてます。
さすが、自由貿易への熱意によりできあがった国。
交渉を有利に持っていくために、
「ウチにはお金がない」的に見られるための演出をすることだってあります。
オランダでのビジネスでは特に、質素に見られる方が得な場合があります。
そのためか、オランダ人は概ね、見栄とかファッションとか、あまり気にしません。
取引先とのコミュニケーションを図るための会食だとか、ゴルフだとか、
そんなものも皆無です。
平日18時以降と休日はファミリーのための時間なので、
そんな時間帯に仕事をするなんてまっぴらだし、
交渉はもっとストレートで現実に即すべきだ、というのが大方の意見。
以前、「女王様の日の国中フリーマーケット」について書きましたが、
オランダの子ども達は1年に1回、じぶんでビジネスを作る機会が与えられます。
要らなくなったオモチャをレジャーシートに広げて売ったり、
「金魚釣り1回1ユーロ」的なゲームを考えたり、
楽器を演奏したり、ジャグリングを披露したり。
おそらくオランダのほとんどの子どもがこの日、自分なりの「ビジネス」を試みた事があるはず。
大人は「そんなことしてもたいした額にはならない」と考えたとしても、
子どもにとって、1ユーロでも2ユーロでも、じぶんの力で稼げるチャンスというのは
とてつもない魅力なのです。
(高校時代のアルバイトを思い出してみましょう。)
想像力豊かな子ども時代にそういったチャンスに恵まれる。
これは想像以上にこの国のルーツとなっていると私は思います。
私はフリーランスのアーティストですので、交渉ごとはもう日常茶飯事です。
フィーの交渉と、展示期間や空間、PRなどの条件の交渉は、まるごとセット。
「こんなに大きな空間を埋める作品を展示するんだから、もっとフィーをくれ!」という私の主張も、
「今回は申請した助成の70%しか取れてないから、もっと安くしてくれ!」という依頼人の主張も、
双方が遠慮なく出し合うことのできる文化です。
そこに求められるコードは、敢えていえば、「クールであること」と「ユーモア」でしょうか。
深刻にならず、熱くなりすぎず。軽く、冷静に、ときに笑いを交えて。
大阪で仕事をしたときにも似たような値段交渉の文化を感じ、快く思いました。
大阪では、デパートでも値段交渉するんですってね!
さすが商人の街。
大阪のこのカルチャーは、大いに国際的に通用すると思います。
橋下さん率いる大阪が、ひょっとしたら今後の日本のkeyになるのかもしれませんね。