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100年早いような気もするのですが、自分の演奏スタイルを解説させていただきますね(これをお読みいただいた後に、右側のリンクから音源に飛んでいただけると幸いです…)。
自分で言うのもナニなんですが、ぼくは結構珍しいタイプのトランペッターです(…。やっぱり、かなりナニだな…)。
さて。
ポピュラー音楽におけるトランペッターを、かなり乱暴にざっくり分けると、「ソリスト」か「セクション」か、に分けられると思っています(「セクション」の場合でもソロはありますが、主に、という意味合いで…)。
前者は、特にジャズ・トランペッターをイメージしていただけたらいいかと思います。ジャズには、ビッグバンドスタイルもありますので、その場合は「セクション」に属しますが、そうではない少人数の、いわゆる「コンボ」というスタイルでは、『ソロが命』のトランペッターということになります。
対して「セクション」は、サックスやトロンボーンとチームを組んで、歌バンドのバックを務めるようなスタイルです(歌ナシの場合もありますが)。
「セクション」はカッコいいですよ。例えば「シカゴ」や「タワー・オブ・パワー」といったブラス・ロックのホーンセクション、大好きです。
ホーンセクションのパートは、キーボード奏者が一人いれば音的には代用できる可能性もありますが、人数をかけてわざわざやる、というところはダテではないです。管楽器隊のアンサンブルのパワー、魅力は相当なものです。
で、自分はどうなんだというとですね、自分の演っているバンドでは、管楽器はぼく一人(ボーカルがフルートを吹いていますが、専任はぼく一人です)。その意味では「ソリスト」のようですが、全然「ソリスト」ではないです。ソロはあまり演りませんから。いわゆる『オブリ』と呼ばれるオブリガート(カウンターメロディ)も、あまり吹きません。
そして、1管ですから、「セクション」であるはずもなく…。
こう言ってしまうと身もフタもないのですが、「ソリスト」にも「セクション」にもなれなかった、という意味合いもあります(あー、言っちゃった…)。
大学でジャズをやっていたわけですが、ぼくより上手なジャズ・トランペッターは、プロ・アマ問わず、10万人はいるだろうと感じていました。
なのでその時点で「ソリスト」には見切りをつけて、「セクション」に生きようと考えました。
そもそもジャズを始めたきっかけも、高校生当時に大好きだった「スタイル・カウンシル」のセクションサウンドに影響を受けて「あ、トランペット、いいかも」と思ったからですし(ちなみに、「スタイル・カウンシル」では、ホーンセクションはレギュラーメンバーではないです。でも、セクションの入った曲はまあまあ多いかと…)。
しかし、そこにもいろいろと限界を感じるところもあり…。
まず、バンドメンバー自体が大人数になってしまうというところに、いろいろと難しさも出ます。そして、やっぱり自由度が低いです。合わせることが命ですから…。
そこで考えたのが、「ボーカリストと、1管で共存する」というテーマです。
ときにはサウンドのすき間を埋めるようなキーボードのように、ときにはコーラスのように、場合によってはボーカルとユニゾンもアリ。で、たまにはソロも。
なので、それを実践するのに都合がいいように、バンド編成はキーボードレスである必要がありました。そして、管楽器はぼく以外には入れない、と。
そして、演奏スタイルは『白玉命』です。
白玉とは、全音符や2分音符、または付点2分音符。楽譜に書いたとき、オタマジャクシが白玉の音符を指します。
管楽器は和音を出せない楽器です。単音しか演奏できないわけです。しかし、音を息の続く限り伸ばすことができます。
ピアノやギターではロングトーンを演奏しにくいです。まあ、ピアノもペダルを操作してある程度音を伸ばすことができますし、ギターもエフェクターを使えばロングトーンを演奏できますが、管楽器では、音を伸ばすことに気持ちを込めることができるんですよ。
ジャズのセッションなどにいくと、ついつい、ハイノートのロングトーンを多用しがちです。
高い音は出すこと自体がテクニックですので、それを苦しそうな顔で無理伸ばしすると、聴いてる人はぐっときてくれたりします(安易にやるべきでない奏法ですが…)。
しかし、ピアノで高い音を無理伸ばししようとしてもそもそも不可能ですし…。
ロングトーンは、管楽器に与えられた特典なんです。
そこに、生きる道を見い出した、という次第です。
消去法で見い出した、と言ってしまうと、本当に、身もフタもないわけですが…。
上手い人にはなかなか言えませんね。「ロングトーンに命をかける」とは。
ロングトーンが管楽器に与えられた特典とは言っても、細かいフレーズが流ちょうにできたほうがテクニックを表現しやすいですから。
でもぼくは、ロングトーンに命をかけています。そこに自分の人生のすべてを投影させようと思っています。
そしてそれは、だれもやっていない生き方です(それだけで完結させようとは誰も考えていない、からなんですけどね…)。
ぼくは、日本一の「ロングトーン吹き」になろうと思っています(世界一でなくていいです…)。
あ、そんなぼくらのサウンドがちょっと認められて、音楽雑誌の『Player』(4月2日発売号)の、インディ・アーティスト・コンテストのページで、優秀作の1つとして掲載されました♪