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燃えるような黄金色に色付いていた荒神様のイチョウもすっかり葉を落とし、この谷間では毎朝のように霜が降り、氷が張るようになりました。これからやってくる厳しい冬を今年はどうしてやり過ごそうか、と悩んでいる、百姓になりたい、川口です。
今週から、今年実った稲の脱穀をしています。
稲の場合の脱穀とは、稲刈りをした後で稲木に掛けて干しておいた稲の束の稲穂から、籾の粒粒を外す事を言います。
こちらが稲刈りを終えて稲木に干した稲達です。
ちなみに、Wikipedia を参照しますと、「脱穀(だっこく)とは、収穫した穀類(イネ、ムギ、ダイズ、アズキ、アワ、ヒエ、ゴマなど)を茎からはずすこと。イネの場合、稲扱き(いねこき)ともいう。 脱穀に続く、籾殻(もみがら)をはずす作業を脱稃(だっぷ)と呼び、脱稃を含めて脱穀ということもある。」
という事ですね。
私は、実際に自分でお米を作るようになるまで、稲作というのは稲刈りでほぼ終わるものなのだろう、となんとなく思っておりました。
が、実際に様々な穀類、豆類などを育ててみますと、田畑で立派に実ったものを収穫してから、実際に食事として口に入れられるまでには実は大変な道程、手間がかかるものなのだ、という事を思い知らされるのです。
手順としては、以下のような感じです。
1) 稲刈り
一反(10アール)は3~4日/一人
2) 天日乾燥 (稲木(はざ)架け)
稲刈りと同時に実施する。作業期間は上記に含む。天候によるが、1~2週間程度干す。
3) 脱穀
一反(10アール)当り8俵(一俵≒60kg x 8 = 480kg)程の収量だとして、足踏み脱穀機で4~5日間。
4) 籾選別(唐箕掛け)
2日から3日間。
5) 籾乾燥
一週間程。
6) 袋に保存
1日。
一反の田の収穫を終えるのに、しっかり朝から晩まで1日働いても、実働で2週間はかかるのですよ。
実際に炊けるご飯にする為には、更に、籾を外す作業(いわゆる「籾摺り」)が必要になります。
これを手作業でやると、更に膨大な時間がかかるのです。
注) 勿論これは現代の農業機械、コンバインを使って収穫作業をしている普通の米作農家の方々の場合には全く事情は異なります。コンバインでやれば、上記、稲刈りから脱穀までが小一時間。乾燥機に入れて数日乾燥させればお終い、です。
昨年は大変に豊作でしたので、これらの作業が本当に泣きたくなりそうに大変だったのでした。で、今年は半ば意図的に収量を減らしたので、その結果、何とか、音を上げずに作業を進められています。
これらの稲刈り後、お米を食べられるようにするまでの作業は、自分の為にしていても大変なもので、もしこれを他人様の為だけに、義務的にこなさねばならない作業だとしたら、つくづく退屈極まりない、苦痛に満ちた作業になってしまうであろうと、痛感せざるを得ません。
決して私の人格が低いからだけではなく、恐らく万人が、何とかして、自分だけでもこの単調な作業の苦痛から逃れて、気儘に過ごしていてもご飯が食べられる立場になりたい、と痛烈に感じるであろうと確信できるのです。
きっと、そんなところから、人間同士の間に、支配/被支配の関係が生まれて来たのだろうなぁ、などと想いを馳せながら、日がな一日、脱穀機のペダルを踏み、籾を集める私です。