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2009年5月
お風呂に入ってシャンプーをしているとき、
「髪の毛が伸びてきた!」
そう感じることが多くなった。
最後の抗がん剤投与は2008年10月末、そこから7ヶ月が経過していた頃だ。
完全につるっぱげになっていた私の頭髪は、ウィッグにつぶされながらも、
驚くまでの生命力を発揮し、力強く伸びてきていた。
赤ちゃんのような髪質、細くてしなっとしていて、手触りはまるでベルベットのよう。
医師からは、抗がん剤の副作用を説明されるときに
「髪はいったんすべて抜けるけれど、また元のように生えてくるから」
と言われていたものの、内心ものすごく心配していた。
もしも一生、これから先ずっとウィッグ生活だったらどうしよう。
楽しんでいくつも買ったくせに、実のところ、そんな風に思っていた。
毎日違うウィッグをつけて気分転換していたつもりでも、心の中では不安だった。
だからこそ、伸びてきた髪の毛を触るのが癖になっていた。
がんばれ髪の毛!と毎日毎日触りながら思っていた。
触って髪の毛があることが、少しずつでも伸びてきていることが嬉しくてたまらなかった。
これから暑くなっていくし、早くウィッグを取りたいなぁと思い始めていた頃だった。
しかし、どこで切ってもらえばよいのだろうか。
ガンがわかる前に行っていた美容院は、髪が抜けてから行かなくなり、はや1年。
気に入っていたところだったけれど、この状況を説明するのは・・・。
それに、そもそも切りそろえられた髪ではないから、ウィッグをして行き、その場ではずす必要がある。
その瞬間を考えると、周りの目がとっても気になって仕方がないように思えた。
ならば、医療用ウィッグを作ったところで、個室でのカットのサービスもあるから、
と思ったけれど、なんだかおばさんっぽくされそうで、それも気が乗らなかった。
そうこうしている間に6月になり、31歳の誕生日を迎えた。
この年はちょうど運転免許の更新の年だった。
証明写真を撮らないといけない。
思いきって新しい美容院へ行ってみよう!
そう思い、急いで検索し始めた。
予約の電話ではさすがにいきなりそんなことは伝えられないから、
個室があり、カウンセリング重視、というようなところがいい。
一軒、銀座でぴったりの美容室を見つけた。
・・・次は、地毛デビュー~その後をお伝えします・・・