ロンドンオリンピック代表を逃しました。残念です。
川内選手の素晴らしいところは、一言でいえば内発的動機。たいていの人は外発的動機、すなわち外側にある条件で動いています。お金がもらえるから、コーチが見ているから、試合が近いから、などなどです。
一方、内発的動機で生きている人は、そんな外側にあるような理由や条件は一切お構いなしに、自分の心のために活動・行動を起こすような脳の使い方を常時しています。このような脳をライフスキル脳と云います。
例えば、一生懸命にやることが楽しいからやる。理由などなく、ただただ一生懸命が楽しいから走る。走ることが好きだから走る。理屈などなくただ走ることが好き。新しい発見や変化が楽しいから走る。結果がどうのこうのなどなく、ただただ走ることに動機づけがあるのです。それが川内選手。川内選手こそ内発的動機の権化様のような印象を受けていました。スラムダンクでいえば桜木花道です。
マスコミはじめほとんどの人は外的条件が重視なので、公務員をしながら大丈夫ですかとか、公務員で忙しいですねとか、サポートがなくて大丈夫なのかなどなど、を質問してきますし、それを報道しています。川内君はそんな条件のことなど言われても、すごいとか関係ないなどと全く考えているのではなく、とにかく内発的動機で走っている。ただそれだけなのです。
ところが、東京マラソンのときには、さすがの川内選手もタイムや結果のために走ると、外部条件を初めて大きく口にして大会に臨んだように思います。7分台を出すとか、7分台でないとオリンピックメンバーにはなれないとか、いつもの川内選手らしからぬコメントが多発していました。プロセスを大事にする内発的動機から結果を大事にする外発的動機にシフトチェンジしてしまったのです。外発的動機をエネルギー源にすると、外側の状況に揺らぎととらわれが起きるので、人間のパフォーマンスは低下します。内発的動機で動いていた人から普通の人になってしまったのです。今回、東京マラソンにて2時間7分台で優勝し見事ロンドンオリンピックの代表に輝いた藤原新選手も内発的動機で走っているように感じました。川内選手も今回の大会で初心に戻れば復活すると思います。川内選手はもともと内発的動機で走っていたアスリートだから・・・。
今回東京マラソンで敗れた後、しばらく「みなさん、すいません」の言葉が多く、意識が確実に外側に向いていて、結果重視になっていた証拠です。しかし、それからしばらくしてオリンピック出場が正式に無理だと分かったときのインタビューで、こう答えたのが印象的でした。「最近、すいませんばかり言ってましたが、まずはありがとうって自分のために言わないといけなって気づきました!」と。再び内発的動機で動き出した川内選手のこれからが楽しみです。