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地球の舳先から vol.224
マダガスカル編 vol.1(全8回)
マダガスカルへ行った。
地理の弱い友人からはガラパゴスと混同されたが、アフリカ大陸の隣にある、アーモンド型の島である。
世界で4番目に大きい島で、国土は日本のおよそ1.6倍。
この地には、世界の動植物の5%もの種類が生息しているとも言われている。
わたしにしては、いつになく「道楽」的な旅だった。
9日間もの長い休みが取れるのは、せいぜい年に1度。
そのカードを切り、未踏だったアフリカへ飛んだ。
バックパッカー的修行的旅行を避けるわたしにしても、旅行代金も高すぎた。
予約をしてから、これでよかったんだろうか? と、正直な話、何度か思った。
中国の滅茶苦茶な開発もあって生態系が壊れ始めているとはいえ、
わたしの旅の基準である「いま行かないと」の理由はないように思えた。
地球の裏側近くまで行って動物や植物を見るなど、自分が喜びそうな要素が無い。
旅を終える頃、わたしはその答えを見つけることになるのだが、当初は悩みながら飛んだ。
飛行機のチケットを買ったりして、退路を断つことも、旅にはときに必要なのである。多分。
長い長い移動の初日を、ようやく終えようとしていた。
12月26日の24時半に羽田を発ち、「会社が終わってから出発できる」「寝ている間に着く」と好評の、羽田の深夜便でバンコクへ。
とはいえ機内で眠れないわたしはまんじりともせず、朝6時前にバンコクへ着いた。
スワンナプーム空港はもの凄い規模で、まさにアジアの要のハブ空港。
毎時、世界中にあらゆる旅客機を飛ばし、マダガスカルへも直行便を出しているのだから驚きだ。
予想通り来ていないホテルの送迎の車をカタコトの英語で呼びつけ、ぬるいシャワーを浴びて数時間眠った。
午後に空港に戻ると、シンハービールとレッドカレーでお腹を満たし、証明写真を忘れてきたので、使うかはわからないが念のため、空港のツーリストポリスで撮ってもらった。
まったくよくできた施設である。
わたしはバンコクが好きではないので空港とホテルだけを往復し、
また飛行機のなかへとおとなしく収まる。
およそ30時間の移動を終えて降り立ったマダガスカルの空港は、キューバを思い起こさせた。
おんぼろのラゲッジラインに、木の机ひとつのイミグレーション。質問事項、特になし。
半灯で暗い空港で発給されるビザはなんとタダ。
バンコクのミスタードーナツで買ったドーナツをかじり、アフリカへ来た実感も無く
空港近くのホテルで堕ちるように急いで眠った。
なんせ、翌朝もまた5時起きで国内移動なのである。
とにかく、外国へ来たら、1にも2にも体調管理。
旅に出ると、妙にまじめになったり神妙になったりするから、不思議だ。
つづく